列島これでいいのか 草花だって子孫を残す
草花にも劣る若者があふれている。うちの息子は、彼女がいたりいなかったりだからまだましだ。息子のある友だちは、「女の子と一緒にいるより、ちいさい子と遊んでいたほうがいい」と言い切る。ぼくも面識があるが、イケメンですらっと背が高く、優しくて運動神経もいい申し分ない好青年なのに。こういうタイプは、息子の周囲にいくらでもいるらしい。
厚生労働省の国立社会保障・人口問題研究所(社人研)が2012年元日に発表した調査結果は、いまさらではあるが、やはりショッキングだ。18~34歳の未婚者を対象に調べた。
男性の61%が「交際している異性がいない」と答え、2005年の前回調査から9.2ポイント増えた。交際している異性がいない女性は50%だった。
少子高齢化が深刻化する日本でさらに深刻なのは、交際相手のいない男女のうち45%が、「異性との交際をとくに望んでいない」と答えた事実だろう。
「別に恋人なんかいなくてもいいもん」から「恋人なんていないほうがいいもん」まで、青年男女の草食化、非動物化はますます進んでいる。
ぼくらが若いころには、女の子に興味・関心・欲望がない男なんておかま、ゲイ以外にはいなかった。とくに大学へ入ると、男女のカップルが雨後のたけのこのようにぼこぼこ出来た。まだ相手のいない者は、男でも女でも、せっせと合コンなどに顔を出した。そのころ、王様ゲームなんていうものはなく、いまでもぼくはどんなことをするのかよく知らないのだが。
日本家族計画協会がやはり2012年初めに公表した数字では、16~19歳の若者のうち、セックスに「関心がない」「嫌悪感がある」と答えた男性は36%、女性は59%いた。前回2008年調査から、男性が19ポイント、女性も12ポイント増えた。
去勢された宦官でもあるまいに、恋愛やセックスに興味を示さない童貞・処女が、ぐんぐん増えているわけだ。女性に関心のない息子のイケメン友だちはたしかに例外でもなんでもないことを、こういうデータは示している。
たとえば韓国では、若者の草食化現象など見られないという。その他の国ではどうなっているのか。元特派員として言わせてもらえば、日本のマスメディアは、国際政治の薄っぺらい報道にかまけているより、もっと深刻なこういうテーマの海外取材に力を入れ、打開策を探ったほうがいいのではないか。
当然ながら、日本で生まれてくる赤ちゃんの数も確実に減っている。社人研が1月30日付で発表した推計によると、50年後に人口は3割減り、高齢者が全体の4割を占めることになる。いま以上の超高齢化社会になるわけだ。
日本はシングルマザーやシングルファザーが少なく、「結婚して子どもが生まれる国」とされている。社人研の推計では12年の婚姻件数も過去最低の67万組となる見込みで、この点でも出生数が減少するのは避けられない。
だから、できちゃった結婚などは国をあげて奨励すべきことだ。
ITの発達でこれだけ手軽にポルノグラフィが見られる時代になったからこそ、男は去勢がちに、女性はセックス忌避がちになるのだろうか。学校で性教育に加え「ポルノとの正しいつきあいかた」「簡単な子どもの作りかた」を必修科目にすべきかもしれない。
そもそも、草食系という言葉自体に問題がある。草食動物は草を食べて子孫を作るし、花にだってオシベとメシベがありそこら辺にはびこってDNAを残す。それさえできない人類のある種族は、もはや草食動物でも草花でもなく枯れ木に近い。作りたくて作れない人たちは別として。
日本はお先真っ暗な感がある。それは先進国共通の悩みでもある。高齢化率の将来見通しのグラフを見ると、日本が最悪だが、ドイツ、フランス、スウェーデンなども大変だ。
一方で、英誌エコノミストは、経済的繁栄の指標はひとり当たりのGDPだから人口減少を気にする必要はないとしている。
<労働力が不足し、労働効率を高めるため最新技術を導入する圧力が増すので、生産力はより速く上がるはずだ。労働力供給を増やすため、定年を引き上げることもできる。高齢化、人口減という新たな人口統計は祝うべきたぐいのものなのだ>
<人類はかつて多産多死の落とし穴にはまった。いま、少産少死の自由な世界に逃れてきたのだ。政治家たちは国家の経済力の凋落を恐れるかもしれない。しかし、国民は新たな人口統計を黄金時代の到来を告げるものとして祝うべきなのだ>
そううまくことが運ぶだろうか。
異性に興味がない、セックスをしない、結婚をしない、子どもを作らない若者たち。しかも、男性の約5人にひとりが“美白願望”を抱いているとするデータもある。
ぼくは、未知の“環境おかま型去勢ホルモン”が列島を覆っているとにらんでる。それに、漫画やアニメがいくところまでいき、集団アイドルもはびこって、生身の異性と1対1で相対し悪戦苦闘する動物としての本能が、ますます退化しているのではないか。
嗚呼、放射能ではなく男性ホルモン、女性ホルモンをそこらじゅうにばらまく方法はないものだろうか。
--毎週木曜日に更新--
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