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やはり、旭日旗が問題を引き起こした

  中東カタールで開かれたサッカー・アジア杯は、2011年1月29日、ザックJAPANのFW李忠成選手が“ドーハの歓喜”を実現した。対オーストラリアの決勝で、DF長友佑都選手からのクロスをボレーでゴールに叩き込んだ。

 しかし、25日の準決勝日韓戦では、後味の悪い汚点を残した。韓国代表のMF奇誠庸(キ・ソンヨン)選手(22)が、前半23分にPKを決めた後、テレビカメラに向かって鼻の下を伸ばし、膨らませた頬を左手で掻く仕草をした。

 これに対し、韓国のネットではすぐさま、「あのサルまねは日本人を侮辱している」「韓国の恥だ」といった投稿が殺到したという。

 ぼくがビデオでチェックした限り、日本で放送された画面には、そのシーンは映っていなかった。試合から2日後に流されたニュース映像でははっきり映っているから、韓国の放送分にはあったのだろう。

 奇選手は翌26日、ツイッター上で「観客席に旭日旗があったのを見て、心の中で泣いた」とつぶやき、その5時間後には「私は選手である前に韓国国民だ」とつづけたという。これについて、「心情は理解できる」と擁護する声もあった。

 26日の韓国・中央日報(電子版)は、「旧日本軍が旭日旗を使用していたため、怒りを抑えられなかったとみられる」と指摘した。

 この行為が日本のメディアでも伝えられ騒ぎが大きくなると、奇選手は釈明した。「日本人に対してではない。所属クラブのセルティックでプレーしていて、相手のサポーターはぼくをサル呼ばわりする。そういう人種差別をする人たちに向けてやった」

 奇選手がプレーするスコットランドの新聞『The Scottish Sun』は、「日本や国際社会からの批判を逃れるために、スコットランドのファンを標的にした」とし、「日本人に対する侮蔑のパフォーマンスだとFIFA(国際サッカー連盟)などから制裁を受ける可能性が高い。ヨーロッパでの人種差別に対する抗議活動に問題をすり替え罰則から逃れようとしている」と痛烈に批判した。

 問題の引き金になったのは旭日旗だった。ぼくは、こういう日がくるのではないかと前々から危惧していた。日本のスタジアムでサッカーの国際試合があると、ゴール裏のスタンドに、日章旗に混じって巨大な旭日旗を振る輩がいる。

 旭日旗は、太陽光線を大胆に意匠化した日本古来からある旗で、1870年(明治3年)、陸軍が軍旗として正式に採用した。その19年後、海軍は陸軍の軍旗とは異なり日章位置が旗竿側に寄るデザインの十六条旭日旗を軍艦旗として制定した。そのため、一般には現在でも、旭日旗は海軍専用の旗と誤解されることも多い。第2次世界大戦に破れ、旭日旗は一度は廃止されたが、1954年(昭和29年)に陸上自衛隊と海上自衛隊が発足すると、旗も復活した。

 韓国の人々にとって、旭日旗は日本の帝国主義や軍国主義の象徴と映り、今でも嫌悪する人が多い。それをスタンドで振るのは、あまりに無神経ではないか。歴史や隣国の国民感情を知らなさ過ぎる。それとも、右翼勢力が確信犯として持ち込んでいるのだろうか。そんなゆがんだ“根性”のある右翼がいまの日本にいるとも思えないが。

 奇誠庸選手をはじめ韓国側を挑発したのは日本人サポーターだった。乱暴狼藉を働くヨーロッパのフーリガンよりややましとはいえ、旭日旗禁止運動が起きないのはなぜか。

 旭日旗といえば、1985年のユニバーシアード神戸大会の体験を思い出す。ぼくは取材中に韓国・聯合通信の記者と親しくなり、大震災で壊滅する前の三宮あたりをふたりで飲み歩いた。彼は日本は初めてだといい「今日、街で旭日旗をつけた車を見かけてびっくりした」と言った。

 それは恐らく、朝日新聞のハイヤーにつけられた社旗だった。その旗は、軍旗の4分の1に「朝」という文字を染め抜いたもので、戦前からそのまま使われている。日の丸・君が代にしつこく反対していた左翼新聞の“右翼的”体質をうかがわせる。どんなにきれいごとを書いていても、韓国国民の感情など尊大で独善的な大朝日はなんとも思ってはいないのだろう。

 朝日が主催する夏の甲子園大会でも、そんな体質がにじみでる。坊主頭の強要、連隊責任、部員の厳しい上下関係やしごきの容認など、旧軍の悪しき伝統そのままではないか。口先ではリベラルを自認する朝日が、それらを改革しようとしたためしはない。

 日教組も朝日と同じ体質を持つ。学生服は明治初期に帝国陸軍が採用したプロイセンの軍服にルーツを持つとされる。日本の高校生が学生服でパリへ修学旅行に行き、右翼集団とまちがわれたという笑えない話はよく知られる。ランドセルも軍隊の背嚢そのものだ。

 朝日は、今回の騒動をきっかけに、社旗のデザイン改革を打ち上げてもよさそうなものだ。日教組も日の丸・君が代闘争をつづけるより、朝日の社旗改訂を闘争目標にすべきだ(笑)。

 カタール・ドーハには日本人サッカージャーナリストが大挙押しかけていたが、誰ひとり日本人サポーターの旭日旗問題に焦点を当てて取り上げようとはしなかった。選手をサムライと呼ぶなら、サポーターもサムライであるべきではないか。

 --毎週木曜日に更新--

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