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山の幸にこの季節を思う

 持病の腰痛が久しぶりにうずく、と思ったら、季節が曲がり2011年の梅雨入りをした。関東地方では例年より12日も早いという。

 雨のなか、かみさんと、毎週土曜日午前のルーティーンとなっているスーパーへの買い出しに出かけた。ぼくは、洋服などの買い物はめんど臭くてきらいだが、食いしん坊なだけに食品・食材のショッピングは大好きだ。

 夫婦で行くスーパーは、大中小あわせて20か所ほどもある。そのなかでもとくにお気に入りなのが、スーパーVだ。全国チェーンの大型スーパーは、いつ行ってもほとんどおなじ品揃えで、個性や季節感があまり感じられない。その点、スーパーVは野菜にしろ魚介類にしろ、行くたびに顔が変わっており、かなり遠くから車を飛ばしてくるファンも多い。

 その野菜売り場で、かみさんが「あ、姫竹を売ってる」と声をあげた。近づいてみれば、「青森産、天然物」と書かれている。太さが2~3センチ、長さ25センチほどで、10本前後入って298円だ。遠く青森から東北自動車道をトラックに揺られてきたのかと思えば、感慨深いものがある。大震災では高速道路も止まったが、少しずつ着実に復興しているのだろう。

 姫竹はチシマザサ(千島笹)が一般的な名前で、姫たけのこ、笹たけのこ、さらにはネマガリタケ(根曲がり竹)などとも呼ばれている。

 その姫竹を、サバの水煮、スライス玉ネギといっしょに鍋に入れ味噌汁にすると、奇跡のコラボとなる。この季節ならではの山の幸といつでも手に入る海の幸が出会い、風味豊かな絶品となる。

 その味を知ったのは、駆け出しの新聞記者として赴任した長野市だった。そのことは、2010年6月3日、「ある竹とサバの奇跡的ハイブリッドに、この季節を思う」と題して書いた。文末に取り寄せ方法を書いておいたら、ちょっとした反響があった。本編は、そのパートⅡだ。

 取り寄せの場合、約500グラムでプラス500円の送料がかかる。それに比べ、近所のスーパーで買うのはうんと安い。

 それにしても、タケノコとサバの水煮をあわせることを考えた人はすごい。長野市出身のかみさんによると、海のない山国信州では、サバの水煮をいろんな料理に使うという。カレーの出汁にもするそうだ。そんな風土から生まれた一品なのだった。

 個性的な品揃えで知られるスーパーVには、10年以上通っているが、姫竹が売られていたのは初めてだった。これを買った人は、どんな料理にするのだろう。「サバ水煮と玉ネギを入れて味噌汁でどうぞ」と、レシピがつけられていればパーフェクトなのだが。

 山の幸といえば、かみさんの友だちに奇特な人がいる。新潟県・越後湯沢出身のHさんで、10数年前から山菜採りにはまっている。春の訪れを待ちかねて毎週のように郷里へ帰り、さまざまな山菜を採ってきて、わが家へも届けてくれる。

 近ごろは山林の所有権もうるさく、どこでも勝手に山菜を取るというわけにもいかないようだが、Hさんはどうしているんだろう。「実家の裏山がスキー場でね。春になれば誰もいないから、どんどん採っていいの」

 Hさんは車を運転しないから、わざわざ上越新幹線で里帰りするのだという。かみさんは、感心して言う。「腰が悪くいつもコルセットをつけているのに、それで山菜を採るんだから、よっぽど好きなのねぇ」

 先々週は、ワラビとウドをどっさり持ってきてくれた。かみさんが「いつも、すいませんね」というと、「ううん、私は採るのが楽しみだから」とHさんは笑ったという。かみさんは、思わず「私は、もらうのが楽しみだわ」と答えたそうだ。

 天ぷらにするとタラの芽よりも美味で、“山菜の女王”とも呼ばれるようになったコシアブラをくれたこともある。かつては食用にされてはいなかったが、近年、独特の風味がとてもおいしいと注目されるようになった。

 Hさんも、「コシアブラを採るようになったのは、最近よ。それまでは知らなかったわ」と言う。

 皮がツルっと刀のさやのように剥けるため、地方によっては「刀の木」とも呼ばれている。分布は北海道、本州、四国、霧島山以北の九州というから、けっこうどこでも採れる。

 コシアブラという和名は「漉し油」を意味しており、樹脂を採って利用したことからきているそうだ。コシアブラの木は高さ15~20メートルほどと大きくなる。里山から高山の林地にまで自生しており、奥山では雪どけ時の7月なかごろまで採取できる。全部採ってしまうと枯れるので、必ず1芽は残すのがルールという。

 天ぷらのほか、和え物やおひたしやなどにしても良く、保存食として塩漬けにすることもできる。

 残念ながら、Hさんのご主人や娘さんは、山菜があまり好きではなく、したがってわが家が主要消費地となっている。新幹線代を考えると、大変な高級食材だ。

 スーパーVで買った姫竹は、さっそく夕食にかみさんが料理し、ぼくは大碗でおかわりした。Hさん、来年は姫竹もお願い。

 --毎週木曜日に更新--

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