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中国人って意外に…なでしこJAPANの快挙から

 中国人の対日感情といえば、1980年代後半から「反日」というのが相場だった。ところが、近年では、若い世代を中心に<クールジャパン>に憧れる人たちも結構いると聞く。テレビゲーム、漫画、アニメなどのポップカルチャーだけでなく、自動車、オートバイ、電気機器などの日本製品、さらには料理、武道など日本のあらゆるものが関心、憧憬の対象となっているという。

 日本ではいま、なでしこJAPANのW杯優勝、国民栄誉賞で話題が沸騰しているが、じつは、なでしこの快挙にもっとも関心を寄せ、うらやましがり、自国の現状を憂えているのが中国人なのだそうだ。

 中国メディア・環球時報(電子版)のアンケートには1万人近いネットユーザーが参加し、その61%が「なでしこJAPANの優勝をうれしく思う」と回答したという。あの反日感情はどこへやら、中国の若者はけっこう素直なのだ。

 ある中国人ネットユーザーは、こんなコメントを寄せた。「中国人にできないことを日本人はやる。しかも現在の女子サッカーレベルの高さの中で!」

 新浪網も、決勝終了直後、アンケートを実施した。なでしこの優勝は「実力によるもの」とする人が88%にのぼり、「運が良かった」「ひとつの大会だけでは何とも言えない」とする声を大きく引き離した。かつては強豪だった中国女子サッカーとの差に関しては「差は歴然」と答えた人が95%と圧倒的だった。

 中国女子チームは、1999年のW杯で決勝戦まで進み、アメリカにPK戦で惜敗した。これが女子サッカーでのアジア最高の成績だった。2003年、08年はベスト8まで進んだが、今回は予選で敗退した。

 国営の新華社通信まで、なでしこ優勝について詳しく伝え、称賛した。「疲れを知らぬ走りと2度追いついた強靱な精神は、女子サッカーの斬新なイメージを打ち立てアジアの地位を高めた」

 なでしこが準決勝でスウェーデンを破った模様を中継した中国中央テレビ(CCTV)で、解説していた元中国男子サッカー代表の徐陽氏はこう語ったという。「日本のスタイルは先進的で世界をリードしている」「私は本当に日本がうらやましい。中国は日本サッカーの発展から学ぶべきだ。正しい発展の道、方向を見つけなければ」

 徐陽氏が日本をうらやしがるのはもっともだろう。日本の女子サッカー人口は3~4万人とされる。アメリカの300万人、オーストラリアの12万人に比べればとても少ないが、中国はたった400人余りの選手がいるだけという。

 人口13億の国で、この数字は異常だ。共産党独裁国家であり、スポーツは国民の健康増進手段、生きがいなどではなく、国威発揚のためだけにあるといっても過言ではない。こんなことで、仮に世界で勝っても、国民は心から喜べるだろうか。

 新民網はなでしこが決勝に進んだ時点で、「なでしこはどうやって鍛造されたか」という分析記事を載せた。

 選手層の薄さをカバーする「真面目な組織づくり」を第一にあげ、日本サッカー協会は1980年に女子サッカーの大会を初めて以降、「厳しいリーグ戦制度や堅実な人材育成体系を築いてきた」と評価した。

 次に、「技術の差を一貫方針で克服したこと」を指摘し、佐々木則夫監督の「女子サッカー発展はシステマティックなもの。私の功績ではなく、これまでの路線を踏襲して来た結果」というコメントを紹介した。3つ目として海外移籍の奨励方針をあげた。

 中国では言論、報道がきびしく制限されており、国家方針への直接的な批判記事はみあたらない。しかし、日本のサッカーの現状をくわしく伝えることで、暗に自国批判していることがうかがえる。

 中国の女子サッカー人口も、もともとはかなりあったが、減っていった。最大の原因は、中国サッカー協会の体質にあるようだ。「小利をむさぼり、長期的な展望も欠落」する風潮が広がり、八百長などの不正に手を染める幹部も続出して、自ら首を絞めたという。観客は減り、収入不足から待遇も悪化し、選手や監督、コーチが安心して臨める状態ではなくなった。成績悪化がさらにファンを減らす悪循環となった。ここにも、“中国病”が表れている。

 なでしこは、今大会、参加国で唯一、全試合でボール保持率が50%を超えた。平均支配率は56.5%だった。メディア・網易はこのデータが「2006-07シーズンのFCバルセロナを上回っている」とし、「女子サッカー界のバルサというのはちっとも言い過ぎではない」と評価した。そして、日本の武器は体格やパワー不足を補う「ボールコントロールとパス」にほかならず、積極的に動いて相手にプレッシャーをかけつつ前線で一撃を放って相手を倒すというスタイルは「まさにバルサの成功哲学だ」と論じた。

 日本では、「なでしこを世界最高の華麗なパスサッカーを展開する男子のバルサに比較するのは、過剰評価」とする声も少なくない。だが、反日だったはずのお隣中国では、素直に比較して絶賛しているのだ。

 さて、なでしこは、2011年9月の五輪予選で中国人をさらにうならせられるか――。
       (本稿は、サーチナ、Record Chinaなどの記事を参考にしました)

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