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日本郵便の大震災便乗商法は、やっぱりえげつない

 ♪ピンポーン♪ 「郵便で~す」。ネットで注文した新刊書がとどいた。クレジットで支払いはすんでいるので受け取るだけだが、配達の人はなんだかもじもじしている。「まだ、何か?」「あのう、震災の寄付金つき切手があるんですが、10枚1シート買っていただけません?」

 先週も、かみさんが郵便物を受け取ったときおなじことを言われた、という話を思い出した。わが家には仕事で使う切手のストックがあるので、断ったそうだ。

 この寄付金つき特殊切手というのには、ちょっと引っかかるものがある。

 日本郵便(JP)は、東日本大震災を受け、2011年6月21日から8月26日まで、寄付つき切手を売り出した。額面80円のものに寄付金20円を上乗せして100円で売る。つまり、JPとしてはまったく腹を痛めず“お客様”にだけ寄付してもらうのだ。

 ぼくは、最初にかみさんからこの寄付金つき切手の話を聞いたとき、すぐに、JPのライバル社・ヤマト運輸のケースを思い出した。ヤマトでは宅配便1個口につき10円を東北に寄付することを早々と決めた。それにひきかえ、JPのやり方はちょっと納得がいかない。郵便配達の人に、ぼくの意見を伝えると、「たしかにそうです。それじゃ」とすごすご帰っていった。

 8月下旬の報道によると、寄付つき切手7,000万枚を発行したが1,800万枚しか売れておらず、9月30日まで売り出し期間を延長した。

 ネットで検索すると、7月14日にJP職員らしき人物がこんな投稿をしている。

 <「震災の寄付金付きの切手を完売せよ」と支社の偉い人から命令が来ました。あくまでも寄付金は善意であると思いますが、会社側は善意を利用して商売を押し付けようとしています。全国規模の会社でこんな最低な営業方針を掲げる会社はないと思います>

 8月5日にも同様な投稿があった。

 <うちの支店長も同じようなこと言ってたわ。「完売しろ」ってさw。つかこの金額なら、自分で寄付した方がまだマシだ。寄付は10枚200円だからな、100枚で2,000円、切手で1万も売れるかよ。 抱き合わせ商法も良いところ>

 広島県のJP呉支店・郵政労働者ユニオン(労組)のPDFファイルには、こうある。

 <(8月?)25日の朝礼で、東日本大震災救援のための「寄付金付切手」の営業活動をする旨の周知が行われた。呉支店の割り当ては910セット。完売を目指し集配では携行販売も行うというもの。違和感を持った人も多かったであろう。今回の震災救援のために、多くの企業が「企業の社会的責任」から、こうしたことを行っているが、大半は商品の値段はそのままで、収益の一部を義捐金に回すというものである>

 JP職員だって、会社のやり方には疑問を抱き、うんざりしているわけだ。

 一方で、「寄付つき」という点に善意を刺激され切手を買った市民もたくさんいる。というか、JPはそれを狙ったわけだが。8月26日付けの朝日新聞『声』欄には、郵便局で寄付金切手をすすめられた読者の投稿が載っている。

 「震災地支援と聞けば年金生活者とはいえ、後へ引けない。10枚購入した。切手1枚からの支援も積み重なれば『輪』が広がり、力になるだろう。そう思うと小鳥や花、ハートをあしらった図柄に温かさを感じた」

 JP経営企画部広報室の報道用電話にかけて取材した。いま現在、何枚売れているのかを尋ねると「公表しないことになっております」。傷口に触れられたくはない、ということか。「期間の再延長はあるのですか?」「それはないと思います」

 「寄付の配布先を公募していますが、どのくらいの団体から申し込みがあったのですか?」「まだ、9月9日に公募を締め切ったばかりなので、公表できません」

 1997年2月に発行された別冊宝島の特集記事『郵便局のヒミツ』では「郵政OBが天下った団体に(寄付が)都合よく配分されていた」というくだりがある。まさか、もうそんなひどいことはないと信じたい。

 阪神淡路大震災のときには5,000万枚を発行し約4,728万枚が売れ、諸経費を除いた9億4,000万円が地元に配分された。この実績をもとに、JPは今回、7,000万枚を発行し14億円を寄付できると皮算用した。それが大惨敗だったわけだ。

 東日本大震災では、ヤマトをはじめ企業や各種団体、個人が争うように寄付をしている。JPもたとえば、80円切手1枚につき2円、50円の切手や葉書1枚につき1円でも寄付をすればいいじゃないか、と誰でも思う。その場合、寄付総額はどのくらいになるか。JPの切手葉書の年間売り上げを聞くと、「民営化後、公表しないことになっております」

 つまり、すべてがあきれるほど秘密主義なのだ。かつて小泉政権が鳴り物入りで強行した郵政民営化の実態がこれだ。

 さらに問題なのは、JPのこのひどい実態を、既存のマスメディアのどこも批判的に報じないことだ。上のノー天気な朝日の投稿をみればいい。

 わが家へ郵便配達に来たおじさんも、「ひとり10シート」のノルマを課せられているのだろう。失敗した震災便乗商法の尻拭いをさせられているわけだ。そのしょげた顔を思い出し、気の毒になった。

 --毎週木曜日に更新--

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