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手作りポン酢で大宴会 関塚JAPANは勝った

 すべては、スーパーSVのミスからはじまった。
 大分特産のカボスを箱買いしようと、近くのスーパーへかみさんと出かけたのはふた月前だった。大分県の友人が、昨秋、送ってくれて以来はまっている。焼き魚を始めほとんどどんな料理に絞ってもうまい。味噌汁にだって入れることを友人から教えられた。

 でも、スーパーSVにはカボスがなく、代わりに徳島産のスダチを売っている。なぜか5個入りで152円、1箱で250円だった。ぼくが頭をひねっているとかみさんが言った。

 「それは、ラベルのまちがいよ」。恐る恐るレジに持っていくと、あっさり250円で通った。家で箱を開けると41個入っていた。店では1箱1,250円とすべきところ、うっかり1,000円を抜かし、それを売り場の誰も気づかなかったのだろう。ラッキー!

 これは天の啓示で、ポン酢を作るしかない。とはいえ、40個もスダチを絞るのは大変だなと思っていたら、自然食品の店でもらった果汁絞り器があるという。うちのかみさんは、モノを捨てるのが大の苦手だが、その分、言えばたいていのモノが出てくる。ぼくは「打ち出のかみさま」と呼んでいる。

 あるブログに、ずばりスダチポン酢のレシピが載っていた。果汁の量に合わせて生醤油、米酢、味醂、料理酒をきっちり測って入れる。昆布と削り節をひと煮立ちさせたものを加えると、1リットルのポン酢ができた。それを冷蔵庫でひと月寝かせる。

 翌月、法事で郷里の出雲へ帰省した。晩秋のいい季節だ。かみさんは実家の隣りの家の畑で、柚子が鈴なりになっているのを発見した。「あれよ、あれ。あれをポン酢に入れれば完璧じゃない?」

 さっそく、母に隣りの家へ電話してもらい、かみさんは帯同していた息子を連れて“柚子狩り”に行った。隣のおばさんは「どうぞ、どうぞ、いくらでも採っていってね」と言い、高ばさみを貸してくれたそうだ。

 かみさんは、こういうとき、決して遠慮はしない。戦果は華々しかった。母や妹、姪に分け、あとは他のものといっしょにダンボール箱に詰めて宅配便でわが家へ送った。

 ぼくは、「スダチポン酢 芳男謹製」というラベルを貼っておいたペットボトルのなかへ柚子を絞り、さらに香りを加えるため柚子の皮も少し入れて、ふたたび寝かせた。

 特製ポン酢とくれば、あの鍋料理をやるしかない。どうせやるなら盛大に、と「サッカー関塚JAPANを応援する大ホームパーティ」を企画した。サッカー狂を招き、対シリアのロンドン五輪最終予選をテレビ応援するのだ。同時に、早めの忘年会とクリスマス、ぼくの誕生日会を兼ねている。

 そのための大作戦は、まず、大掃除から始めた。リビングがなんとか片付くと、ドイツで買って日本へ持ち帰った大クリスマスツリーを押入れから出した。高さは210センチあり、ふつうのマンションだと飾りきれないかもしれない。幸いわが家は一戸建てで天井もかなり高い。

 クリスマスツリー用のガラス球が、日本では目にしない凝ったものだ。卵の殻のように薄く、工芸品としての趣がある。ちょっと力を入れると割れてしまう。かみさんは今回、ひとつ壊してしまった。嗚呼。

 もうひとつのメインアイテムが、やはりドイツ製の「クリスマスピラミッド」だ。聖書にあるキリスト誕生の様子を、大中小3段式のテーブルに乗せた木製人形で表現している。てっぺんには羽がついており、六角形の台の角にろうそくを立て、炎による上昇気流でピラミッド状のテーブルが回転する。羽の角度を変えるとスピードも変わる。回転する羽で天井に複雑な幾何学模様が映し出され、クリスマスの厳粛なムードをかもし出す。ドイツのどこの家庭でも、この時期になると必ず登場するものだ。

 ドイツでかみさんが習いに行って作った大きなリースも引っ張り出した。部屋をモールやサンタクロースの人形でデコレートし、目一杯、華やかになった。

 そして、パーティ当夜、サッカー狂の男性3人と中3のお嬢さんひとりが、シャンパンやビール入りの箱を抱えてやって来た。シャンパンで乾杯し、いきなり大宴会に突入した。

 メインの鶏ちゃんこ鍋をはじめ、キムチ、松前漬けなどはすべて自家製だ。鍋は大相撲の故「呼び出し太郎」さん夫妻が、相撲、報道関係者のために考案したものだった。ぼくも新聞記者時代、太郎さんの奥さんがやっている両国の店で食べて感動し、わが家のもてなし料理に取り入れることにした。コストは安く、味はやみつきになる。

 鍋は、もちろん、手塩にかけて熟成させた柚子入りスダチポン酢で食べる。市販のポン酢も用意したが、圧倒的に手製のほうに軍配があがった。やったね!

 パーティの第2部が関塚JAPANの応援だ。前半終了間際にやっとDF浜田水輝がヘディングシュートで先制したが、後半、守備の乱れから同点に追いつかれた。そして、86分、FW大津祐樹が左クロスに頭から飛び込みゴールに叩き込むと、わがパーティ会場も一気に盛り上がった。2対1でそのままホイッスルが吹かれ、勝ちきった。

 でも、もっとシュートを撃て! ほんとに草食系なんだから。

 すでに新しいシャンパンはなく、焼酎のお湯割りで乾杯だ。クラッカーを買っておけばよかったぁ。

 --毎週木曜日に更新--

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