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格安フライトの話は、頭に血がのぼる

 「うっそォ。こんなに安いのォ!」。かみさんが叫んでいる。あるクレジットカード会社から、ダイレクトメールがとどいた。「期間限定 とっておき春の北海道4日間」という、格安ツアーのチラシが入っていた。

 新聞の折り込みであれ何であれ、チラシはかみさんの愛読書(?)だ。それにしても、こんな反応を示すのは珍しい。

 羽田から函館へ飛び、五稜郭や朝市、洞爺湖、富良野、旭山動物園などを回る3泊4日のコースで、帰路は新千歳から羽田へ帰ってくる。それで29,980円ぽっきりだ。しかも、動物園の入園券がついていて、2名1室で食事5回つきの値段というからびっくりする。

 「それにしても安いわね~ぇ、行きた~い」とかみさんは言ったが、募集期間の4月はこっちもスケジュールがぎっしりでとても無理だ。

 そのチラシによれば、同じ路線のフライトを通常料金で払うと30,200円という。ツアーは温泉などの宿泊料金、道内移動のバス料金もふくまれている。航空会社や旅館・ホテルは、いったいいくらのもうけになるのだろうか。

 そもそも、東京や大阪から北海道へ飛ぶフライトは、ぼくに言わせれば安すぎる。そう思っているところへ、2012年3月1日、日本初の本格的な格安航空会社(LCC)が、関西国際空港を拠点に就航した。『ピーチ・アビエーション』というそうだ。

 初便は、関空発新千歳行きで片道4,780円からだった。関空発福岡行きはさらに安く、3,780円からという。往復しても1万円でおつりがくる。この夏には別のLCC2社も就航する予定で、今年は日本の“LCC元年”になる、という新聞記事もあった。

 もともと、日本国内の航空運賃は高いと言われていたから、今後、価格破壊がやっとこの業界でも起こるのかもしれない。

 しかし、そういうニュースを聞くと、ぼくは頭に血がのぼる。郷里の出雲に帰るためかみさんと羽田から飛ぶのだが、その料金はすごい。普通席が往復で58,540円かかる。ふたりで117,080円となる! 羽田ー出雲は日本航空の独占路線だから、ライバル会社はなく、価格破壊などどこ吹く風なのだ。

 ただ、ぼくたち夫婦は、老いた両親のために帰るので介護帰省割引がきく。それだと、夫婦で81,080円となる。ノーマル料金よりふたりで3,6000円も安くなるから、もちろん割引を利用する。

 でも、手続きがかなりめんどうくさい。親の介護保険証のコピーや自分たちの戸籍謄本、顔写真、運転免許証などを用意する。要介護者が2親等以内で出雲に住んでいることを証明する書類がいるのだ。空港のチェックインカウンターではなくサービスカウンターで、1年間だけ有効の介護帰省パスを作ってもらう。

 その前にネットで座席を予約する。割引を受けるにはパスの会員ナンバーがいるのだが、パスは空港で作ってもらうのだから、それがまだないか有効期間が過ぎているときがある。どうすりゃいいの。JALのウェブサイトには何も説明がないため、電話で問い合わせたりしなきゃならない。よくあることだが、何につけサイトの説明は不親切で、JALの場合も慣れないときは大変だ。とりあえず普通席で予約し、あとで差額料金の払い戻しをしてもらう。

 やっとチケットが手に入ると、今度はチェックインカウンターに並び、チェックインの手続きとスーツケースの預け入れをする。これでやっと、搭乗できるのだ。ふぅーっ。

 わが夫婦は、介護帰省で2泊3日または3泊4日するのだが、実家はすでに自家用車を手離しているので、空港レンタカーを利用する。これはJALのウェブサイトからチケットと同時に予約すると、わずかながら安くあげられる。

 お世話になっている近所や親戚、福祉関係者への手土産代をのぞいて、交通費だけで1回あたり12万円くらいはかかる。それを、昨年は、父の施設入所や難病の姉の入院・葬儀などのため何度か繰り返した。ふぅーっ。

 「出雲へ帰るより、台湾や韓国へ行ったほうが、よっぽど安いじゃない」。かみさんの言うのももっともで、昨冬には、帰省はあえてさぼって韓国・釜山へ旅行した。2泊3日で往復のフライトと一流ホテル、現地の空港送迎がついて、ふたりで6万円ぽっきりだった! 名物のチャガルチ魚市場で日本よりうんと安いヒラメやサザエを食べまくり、市中心部では「韓牛」を味わった。まあ、味は和牛のほうがずっと上だと思ったが。

 羽田ー出雲路線は、日に5便飛んでおり、ほとんど席が埋まっていることも多い。出雲と東京を空路で行ったり来たりする人は、まちがいなく年々増えている。

 JTBがLCCの国内線について消費者アンケートをし、約7,500人がネットで回答した。約4割が乗ってみたいと答えたが、反面、「しばらく様子を見て決める」人は25%、「乗ってみたいとは思わない」人は12%だった。その理由は、「なんとなく不安だから」が最も多く43%だったという。

 たしかに、“安い、でも墜ちる”じゃこまるけど。LCCは機内食や手荷物預かりサービスなどは有料だという。それで結構だ。地方路線にも進出してくれれば、わが家の家計も大いに助かるのだが。

 --毎週木曜日に更新--

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