« あなたは献血NG、だなんてふざけるな | トップページ | 尖閣諸島 朝日主筆のご高説は情けない »

越後の隠れ宿 ビートたけしと満点の星

 山肌の残雪が、キツネの形や幾何学模様を描いている。久しぶりに、春の越後路を愛車で飛ばした。とはいっても、ハンドルを握っているのはお抱え運転手のかみさんだ。

 新潟県長岡市に仕事で行く用事があったところへ、チケット共同購入サイト『ポンパレ』をのぞいていたら、隣の魚沼市の大湯温泉・村上屋旅館が、1泊2食付で7,500円と格安ででていた。

 このサイトは、ホテル・旅館から居酒屋、取り寄せ食品、化粧品、事務機器などまで、なんでも50%以上オフで載っている。一度購入したらキャンセルできないが、なかには90%以上も割引くたたき売り品目もあったりして、みているだけで楽しい。

 仕事を片付けちょっと引き返して大湯温泉に着くと、山あいの静けさのなかにあった。作務衣を着たお姉さんがウェルカムドリンクとして、雪下ニンジンのジュースを持ってきてくれた。雪の下で育った越後特産のニンジンで、リンゴジュースを少し加えたとはいえ野菜とは思えないほど甘い。

 お姉さんが宿の説明をしてくれた。ポンパレでチケットを購入した客は、客室最上階の眺望のいい部屋に泊れる。駒ヶ岳を見晴らす屋上のパノラマ露天風呂を40分、無料で貸切にできる。ふつうは税込1,050円で提供している自慢の風呂だという。

 さらに、夕食には地酒3種各1合瓶が1本ずつつく。そんなサービス、ポンパレの案内にはなかったぞ。サイトに載せないサービスをしてくれる宿泊施設はこれまでになかった。実際にはたいしたことないサービスでも誇大アピールするところが多いのに、なんという謙虚さ、サプライズ。これが越後式の奥ゆかしさか。

 8階の大浴場、屋上の天上露天風呂のほか、地下2階に渓流をまぢかに臨む貸切風呂がふたつあるという。「《どうぞ》という札が下がっていたら予約なしでいつでもお入りいただけます。時間は無制限です」。これも珍しいサービスだ。

 部屋でメニューをみたら、地酒は3本セット1,800円で売っている。

 ポンパレでチケットを買う旅館や飲食店には、良心的なところももちろんあるが、なかには食材やサービスの質を落とし、実質的に割引でもお買い得でもないケースもちょくちょくある。

 うちのかみさんが言う。「値段も値段だから、あんまり期待もしていなかったけど、この旅館、大当たりじゃない!?」

 さっそく浴衣に着替えて、地下の貸切風呂に行った。地下とはいっても旅館そのものが崖に建てられ、たしかに窓から渓流がみえる。佐梨川とかいう川では雪解け水がごうごうと流れている。

 大湯温泉は、開湯1,300年を誇る。奈良時代の僧・行基がこの地を訪れ錫杖で地面を突いたら温泉が湧き出したという伝説がのこる。

 村上屋旅館は創業約200年だそうだ。当6代目当主の夫人で女将の桜井めぐみさんは、この旅館に嫁いで35年ほどになる。「ポンパレでお客さまを募集したのは初めてです。この冬は新潟でも雪がとくに多く、ニュースでは繰り返し大雪による被害が報道されました。この辺りでは4メートルほど積もっただけでふだん通りでしたが、お客さまがめっきり減ったので、春に挽回しようと募集に踏み切りました」

 ポンパレでは手抜きをするところがあることも知っていたが、「お客さまが気に入ってリピーターになってもらえるように、いつも1万5,000円で提供しているサービスをほぼそのまま半額にしました」

 昭和20年代から、新潟・福島県境で奥只見ダムの工事が行われ、大湯温泉は大いににぎわったそうだ。「バブルがはじけた13年前まではストリップ劇場があり、立ち見のお客さんが出るほどでした。すずらん通りというところには30軒ほどの店がずらっと並び、スナックからは明け方までカラオケの声が響いていたものです」

 部屋には、新潟日報が発行した『新潟文化』(2012年2、3月号)という雑誌があった。県内の温泉特集で、トップが大湯温泉だった。最盛時には約60人の芸妓をかかえ、射的屋だけで15軒、ほかにパチンコ屋、スマートボール屋、釣り堀、サウナがあり、遊郭もあった。

 無名時代のツービートも営業にきた。ビートたけしさんの自伝的小説『漫才病棟』には、ここのストリップ劇場がモデルになったらしいエピソードが出てくる。<前日に警察の手入れがあり踊り子がほとんどいない中、漫才をしたら、客席から罵声が飛んできてモノが投げつけられ、浅草へ逃げ帰った>

 さびれた山あいの温泉宿というのがいい。越後もち豚のしゃぶしゃぶと岩魚の塩焼き、季節の山菜コゴミやウドを堪能した。ご飯はもちろん、魚沼産コシヒカリの銀シャリだ。

 昼間は曇っていたが、夜がふけるにしたがって晴れあがっていった。星の数がみるみる増えていくことでそれがわかった。かみさんと、屋上のパノラマ露天風呂へ行った。満点の星で、北極星や北斗七星がくっきりみえた。

 女将さんが言った。「夏の終わりごろから秋にかけ、またおいでください。天の川がよくみえます。満月の夜も山の稜線が浮き上がってきれいですよぉ」。行く、行くっ!。

 --毎週木曜日に更新--

|

« あなたは献血NG、だなんてふざけるな | トップページ | 尖閣諸島 朝日主筆のご高説は情けない »

日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/540025/54619403

この記事へのトラックバック一覧です: 越後の隠れ宿 ビートたけしと満点の星:

» ビートたけし 最新情報 - Nowpie (なうぴー) お笑い芸人 [Nowpie (なうぴー) お笑い芸人]
ビートたけし の最新情報が一目でわかる!ニュース、ブログ、オークション、人気ランキング、画像、動画、テレビ番組、Twitterなど [続きを読む]

受信: 2012年5月 4日 (金) 05時34分

« あなたは献血NG、だなんてふざけるな | トップページ | 尖閣諸島 朝日主筆のご高説は情けない »