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ナスカの地上絵 夢もロマンもないらしい

 このところ、力がふにゃっと抜けるようなニュースがつづいている。

 大阪維新の会代表の橋下徹・大阪市長は、2012年6月1日、福井県の関西電力大飯原発再稼働をめぐり、「民主党政権を倒す」と決意を示していた自らの発言を「撤回する」と述べた。次期衆院選で民主と対決するとしてきた維新の方針も見直す。

 それじゃ、面白くない。選挙で政権が代わることを実証した民主党の、歴史的使命はおわった。憲政史上最低の民主党政権をぶっつぶし、官僚独裁体制を崩壊させてくれないと、このニッポンは後進国への下り坂を一直線にころがりおちる。

 まあ、<君子豹変す>の橋元さんだから、いざその時になれば、立ちあがってくれるだろうが。

 個人的にもっと力が抜けたのは、「光より速いニュートリノ」が幻になったことだ。

 昨年9月、「光速より速い素粒子を発見した」と世界に向けて発表した、名古屋大などの国際研究グループOPERAは、その実験結果を公式に修正した。

 アインシュタインの相対性理論は、光より速い物質は存在しない、としているから、超光速素粒子が本物なら、過去に行け、物理学と宇宙論を根底からひっくり返す世紀の大発見だったのに。実験ミスの原因が、装置の接続不良というばかげた話で終わった。

 それでもぼくは、いつかどこかで超光速素粒子が発見されることをまだ夢見てはいる。

 これにまさるとも劣らないのが、ナスカ地上絵をめぐる話だ。ナスカの台地に描かれた巨大な絵は、宇宙人説をはじめその方面のファンに夢とロマンを与えてきた。

 でも、それもどうやら、身も蓋もない話で終わることになりそうだ。毎日新聞の2月22日付け朝刊で、ぼくの義弟がちょっとした“スクープ”をした。この話、一般にはまだ伝わっていないようなので、記事をもとに少し詳しく紹介する。

 ナスカ台地は東西約20キロ、南北約15キロに広がり、1920年代から考古学調査が行われてきた。総数は1,000点以上にのぼる。大部分の地上絵は、ナスカ期(紀元前200年ごろ~紀元700年ごろ)に描かれたことがわかっている。

 直線は8キロ以上にわたり、動物の絵も大きいものでは300メートル近くにもなる。上空からでなければ全体を一望することができない。飛行機もない時代にどうして描くことができたのかが、最大の謎だ。また、誰が、何のために。だから、宇宙人説がでてくる。

 謎の解明に挑んでいる専門家は数多く、そのひとりが山形大学の坂井正人教授(文化人類学・アンデス考古学)だ。

 1994年から地上絵の研究をつづける坂井教授は、分布に何か規則性がないかと、2004年以降、山形大の研究チームで人工衛星写真を分析し、全長65メートルの生物らしい図像を含め、100点以上の地上絵を新たに見つけた。

 そして、坂井教授は、今も地上絵が描かれている(!)という話を聞き、2008夏、ナスカ台地の南西部を訪れた。すると、30メートル以上もあるキリスト教の聖母の像が斜面に描かれていた。

 驚くべきことに、近くの町に住む女性ふたりが、2003年にわずか30分ほどでそれを描いたという。記事はこうつづく。

 <この地域では、畑に種をまくとき、全員が横1列に並んで足並みをそろえて前進する。種をまくタイミングは半歩単位で決まっていて、大きく成長する作物の場合は間隔を空ける。隣の人との距離も作物によって決まっている。農民たちは道具を使わず、目視で距離を測る。その距離感覚は研ぎ澄まされ、かなり遠くの山までの距離も目測で「何百歩」と、ほぼ正確に言い当てることができる。>

 <2人の女性はこの要領で、相手との距離を測りながら、足並みをそろえて左右の線を同時に描いていったのだ。さらに、写真を渡して、全長20メートルのキツネの地上絵を描くよう教授が依頼したところ、わずか15分ほどで完成した。写真を原図として、どの部分が何歩分になるかを頭の中で換算して描いたという。>

 教授は2009年秋、この方法でほんとに地上絵が描けるか、山形県天童市立天童中部小の校庭で実験をした。6年生児童と保護者が約20メートル四方の将棋の駒やサクランボなどを描き、山形大の学生の応援を得て、全長約100メートルのハチドリの地上絵もほぼ原寸大で再現した。

 この話は、きっと、山形の地元メディアも伝えたはずだ。問題はこの後だ。

 ナスカ台地は酸化して黒くなった小石で地表が覆われいる。ふたりの女性は、片方の足で地表の黒石を蹴飛ばして、白い砂地を露出させて白い線を描いた。この方法によれば、<黒石を蹴るときに支えとした軸足の跡が線のわきに残る。右足で蹴りながら進んだら、左足の跡だけが点々と残っているはずだ。>

 教授は、何百メートルも先まで地表の起伏をミリ単位で測定できる3Dレーザースキャナーを現地に持ち込み、古代に地上絵を描いた人々の痕跡が残されていないか調べているところだという。

 痕跡が確認された時点で記事にすれば、世界的スクープになったのではないか。おなじ新聞記者出身のぼくならそれまで待つ。それは、世界中の夢を覚ますことになるのだが。

 --毎週木曜日に更新--

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