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バレーボール “万年ホームゲーム”じゃ、未来はない

 防犯カメラが設置された電信柱がある。と思えば、コートわきで大林素子さんがマイクを手に立っていた。テレビのスピーカーからは、相変わらず川合俊一さんの解説が聞こえてくる。

 なんかヘンだな、これでいいんだろうか。2012年6月のバレーボール男女ロンドン五輪最終予選をテレビ観戦して、多くの人がそう思っただろう。

 振り返れば、2010年の女子世界選手権、2011年の男女ワールドカップ(W杯)につづいて、今回も日本で開かれた。

 ジャニーズか何か知らないが、試合前、お兄ちゃんのグループが歌って踊り、スタンドの女の子たちをキャーキャー言わせている。試合中も通路付近で、水着と見まごうコスチュームのチアガールがポンポンを手に跳ね回り、テレビ桟敷のお父さんたちの目を引いている。

 スポーツはエンターテインメントの一種とはいえ、中継するテレビ局の視聴率稼ぎ戦術は見え見えだ。

 どうしてバレーボールでは、大きな大会がいつも日本開催なのか。日本バレーボール協会の力がそれだけ強いのか。

 一説によれば、日本ではバレー人気が他国に比べて異様に高く、視聴率が取れるので、有力スポンサーがつきやすいという。1964年東京五輪での『東洋の魔女』による金メダル、1972年ミュンヘン五輪の男子金メダルなどの遺産が、バレー人気という意味でまだ残っているということだろう。

 そのため、開催費用だけでなく裏表の金もポンと出せ、日本に大会を誘致するのが容易なのだろうか。

 言い方は悪いが、高視聴率による札びらで、世界のバレーボール界を引っぱたいているようなものかもしれない。

 試合時間は本来ならばらばらだが、全日本は、いつもゴールデンタイムの午後7時からと決まっている。チームにとってはコンディションが作りやすい。そして満員の大声援を受けて試合に臨める。どう考えても、ホームの利は大きい。

 国際スポーツは、その国の経済力をふくめた総合力がものを言うから、視聴率で引っぱたくようなやり方も、まあ、ありかもしれない。

 でも、それは、地の利に後押しされて勝てればの話だ。実際には、ロンドン五輪に女子はかろうじて出場できるが、男子はやっぱりだめだった。

 産経新聞は6月11日付けで、日本バレー界の半ばタブーになっているらしいこの問題にふれた。

 <最終予選4位で五輪切符を得た女子にも当てはまるが、敵地で不利な状況に陥った場合、果たして実力以上の力を出せる能力は備わっているのか。「五輪でメダル」を考えるのならば、主要国際大会の自国開催の在り方も見直す必要があるだろう。>

 男子サッカーでの“アウェーの洗礼”を思い出す。2004年、日本の男子五輪アジア予選代表は、中東某国で半数もの選手が下痢や腹痛に見舞われ、大変な思いをした。原因は特定されておらず、疑惑は解決されないままだ。場合によっては国際問題になりかねないところだ。

 日本の代表チームが泊っているホテルの外で、現地のサポーターが一晩中大騒ぎし、選手の安眠を妨害することもある。

 いま、ブラジルW杯アジア最終予選の真っ最中だが、ザックJAPANは、3連勝をねらったオーストラリア戦で、やはりアウェーに苦しめられた。ピッチがぼこぼこで、お家芸のパスサッカーがやりにくかったのもアウェーならではだった。それ以上に、サウジアラビア出身の主審に不可解なジャッジを何度もされ、勝てたゲームをドローにされた。

 中東A国と試合をするときには、中東B国出身の審判が露骨なえこひいきをする。ご存じ“中東の笛”だ。今回の対戦相手は中東ではなかったが、笛の吹き方は異常だった。

 反面、アウェーの洗礼のおかげで、日本のサッカーはたくましく発達したともいえる。

 いつも日本開催で甘やかされた全日本バレーチームは、精神的にか弱い。今回の男子最終予選の初戦、植田JAPANは最強豪のセルビアと戦い、0対3で惨敗した。メンタルが左右するサーブで、日本はじつに20本もミスをした。それで試合になるわけがない。

 男女バレーを強くするためには、あえて条件の悪い国外で大会を開くべきだろう。ドル箱を失うテレビ局は猛反対するだろうが。

 戦術的なことで言うと、もっと意図的なタッチアウトを取らなければ、平均身長が10数センチもちがう欧米に勝てるわけがない。かつて、高橋みゆき選手は「下から天井へ」打つようなアタックで敵を翻弄した。今回、男子のセルビアは、圧倒的に高いのに、日本ブロックの指先を狙う「水平打ち」を繰り返した。ボールをコート内に叩きつけるだけがバレーじゃない。

 監督も日本人にこだわる必要はまったくない。札びらを積んで名監督を招聘すればいい。

 このままでは、日本バレー界に未来はない。

 --毎週木曜日に更新--

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