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なでしこの「金」は狭き門だが

 超美人にだったら、ムチで打たれても気持ちいいかな!?

 スウェーデンで2012年6月18日に行われた、なでしこJAPAN対アメリカ代表のロンドン五輪強化試合をみて、そう思った。別に、M男というわけではないが。

 キックオフからわずか3分、FWモーガン選手にあっという間にゴールを決められた。なんというスピード、なんという美貌とスタイル。

 世界のスポーツ界を見渡しても、トップクラスの美人だろう。不思議に、先制点を取られても、悔しい気持ちがわかなかった。なでしこJAPANと命名されるよりずっと前から、日本女子サッカーを応援してきたが、男というのは勝手な生き物だ。

 反対に、重戦車みたいなエースFWワンバック選手に点を取られると、やっぱり悔しい。

 モーガン選手といえば、昨年の女子W杯決勝でスーパーサブとして途中から入り、なでしこDF陣を置き去りにして、ゴールに叩き込んだ。

 そのときから比べても、ボール扱いが格段にうまくなっている。強化試合の後半、主将MF宮間あや選手の不用意な横パスをかっさらって、個人技で2点目を取った。

 結果は1対4と日本の惨敗だった。あの試合だけみれば、ロンドンで金メダルを取るなんてとても無理だ、と思った人も多いだろう。

 みんなの体が重そうで、アメリカの選手の動きに全然ついていけなかった。いつもなら、ワンタッチのパスが面白いように通るはずなのに、パスを出しても味方と呼吸が合わず、敵にボールを取られてしまう。

 試合後、佐々木則夫監督も認めていたが、チームのコンディションは最悪だった。スウェーデンに空路約20時間もかけて入ったのが金曜日だった。7時間の時差に心身を合わせる間もなく、月曜日の試合だった。

 逆に、アメリカは“禍転じて福となす”を地でいっていた。アメリカの女子サッカーは経営不振で、今シーズンはリーグが停止された。ワンバックやモーガンは、日本のなでしこリーグに来て試合勘を維持する話もあった。

 しかし、アメリカ・サッカー協会は、女子代表候補選手全員を臨時に雇用し、この春からずっと合宿練習をさせていた。まるで、北朝鮮代表みたいだ。

 狙いはもちろんロンドン五輪での金メダルだが、そのためには日本のパスサッカーを撃破しなければならない。合宿ではずっと、その対策に時間をかけたのだろう。

 パスのコースを読み、カットして一瞬で攻撃態勢に入る。パスワークの質をあげ、ゴールに迫る。

 試合の2点目をあげたワンバックのゴールは、その練習の成果がよく表れていた。

 アメリカは、スウェーデンに2週間も前に入り、入念なコンディション調整をしていた。だから、なでしことはホームとアウェーのような、あるいはそれ以上の差があった。

 日本での春の日米親善2試合で、なでしこは1勝1分けだったが、その時点でアメリカがパスワークに力を入れはじめていたのは、明らかだった。

 佐々木監督も「あれが完成したら、太刀打ちできないかもしれない」と大いに警戒していた。それでも、なでしこ並みのパスワークが一朝一石にできるとは思わなかっただろう。

 しかし、スウェーデンでの試合を見る限り、予想以上に完成形に近づいていた。

 なでしこのほうは、頼みの澤穂希選手が故障明けで、まだ回復途中だった。攻守に走り回るいつもの切れはなく、動きの悪いなでしこのネガティブシンボルみたいだった。

 代表に残るためにアピールしなければならないFW丸山桂里奈選手なども、あまりぱっとしなかった。

 アメリカはロンドン行きの登録18選手をすでに決め、そのチームで試合に臨んだ。ところが、日本サッカー協会は、7月2日にメンバーを発表する。多くの候補選手はどんぐりの背比べで、スウェーデンでの出来を見極めてから18人に絞るつもりだったのだろうが、いかにも遅い。

 本番まで3週間あまりしかなく、連携を強化する時間がほとんどない。男子のW杯では、Jリーグを中断して代表チームは1か月くらいの合宿を張る。日本の女子サッカーの歴史を変えるロンドン五輪なのに、代表の日程が優先されないのは、本末転倒にも思える。

 悲観材料ばかりみたいだが、サッカーは戦ってみなければわからない。W杯で優勝し受けに回った印象がどこかにあったなでしこも、アメリカに改めて惨敗して、もう一度、本気でチャレンジャーになれるだろう。

 たかが強化試合なのに、アメリカの女性監督が、点を取るたびに躍り上がって喜んでいたのが目についた。練習の成果がはっきり表れてうれしかったのだろうが、まだ、喜ぶのは早い。日本に圧勝して、無意識にせよ油断が生まれれば、こっちの望むところだ。

 なでしこでは、絶好調のFM永里優季選手に期待がもてる。そして、スウェーデンでは調子がいまいちだったが、何といってもちびっこ宮間選手がキープレーヤーとなるだろう。あの戦術眼とパスの精度は世界一だ。それに、澤選手が完全復調すれば申し分ない。

 金メダルへの道は狭き門だが、潜り抜けられないことはない。モーガンの悔し涙が見てみたい。

 --毎週木曜日に更新--

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