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日の丸を背負い、カンボジアの地雷原に挑む②

 日本で夏といえば7、8月ごろで、最も暑い季節だ。ヨーロッパでも北米でもそうだが、海外の季節を語るときには注意がいる。カンボジアの最も暑い季節、つまり夏は4、5月ごろだという。

 日本政府のODAなどによって設立されたJMAS(日本地雷処理を支援する会)のカンボジア現地統括代表・谷川保行さんからのメールによると、2012年のカンボジアの5月初旬の気温は、43~45度だったという。それからしばらくして雨季に入った。

 谷川さんとぼくらが同時期にいたインドでも、5月が暑さのピークだ。人びとは雨季をモンスーンと呼んで待ち焦がれる。気温が下がって炎暑で疲れた人びとの体を休めさせ、耕地も潤してくれるからだ。年によってはモンスーンが訪れず、農業をはじめとする経済活動だけでなく、ときには政治へも甚大な影響をもたらす。

 インドのモンスーンはだいたいひと月あまりで終わるが、カンボジアの雨季は10月ぐらいまでつづくのだという。この期間、地雷処理の任務にとってはやっかいな季節となるそうだ。

 <地雷・不発弾の処理現場や建設工事の現場は泥濘化され、作業効率が落ちるとともに、車両や重機材が泥濘にはまり四苦八苦の脱出劇を演じるようになります。最大の問題点は、洪水により地雷や不発弾の位置が変化したり新たに増えたり、露出して住民が被害にあう確率が高まることです>

 ある地雷処理サイトで、21個の対人地雷が発見され、翌日もまたほぼ同数が、翌々日には40数個が見つかった。

 ついには、恐れていた対戦車地雷まで出てきた。その破壊力はすさまじく、2年前には地雷処理員7人が対戦車地雷の事故で亡くなっている。谷川さんは、万一の悪夢を想定せざるを得なかった。

 <5月31日までに200個を超える地雷を探知、安全化を行った後に回収し、同時に見つかった砲弾と共にすべて爆破処分しましたが、本当に緊張した1週間で、考えたくもない事故対応を頭の中で反復していました>

 現地付近に埋められていた地雷は、ソ連製、ベトナム製、中国製だった。ベトナム軍、カンボジア政府軍(ヘンサムリン軍)とポルポト軍が入り乱れていたカンボジア紛争の縮図を物語っていた。しかし、地雷処理のプロが首をかしげることがあった。

 <今回発見された地雷の中には、信管が装着されていない地雷、安全ピンがかかったままで作動しないようになっていた地雷がかなりありました。この地域で地雷設置作業を行った兵士はおそらく、無知な農民兵士だったのでしょう。あるいは、同胞同士が傷つけあうのを嫌い、敢えて爆発しないように地雷を操作したことも考えられます。つわもの達の地雷跡には、兵士の匂い、人の匂いがします>

 ある州では、地雷・不発弾処理を行うとともに学校、道路、井戸等を建設している。簡易道路の新設工事を行う鍬入れ式に臨んだ谷川さんは、道路建設予定ルートも確認した。その一帯には、バナナ、マンゴー、ココナツ、椰子、ジャックフルーツなどが至る所に生い茂り、実がたわわになっていた。

 <この国には飢えがない、仕事がなくとも食える、という印象を持ちました。反面、点在する住民の暮らしは目を覆いたくなるような貧困状況で、カメラを向けることができませんでした>

 谷川さんは激務のあいまを縫って、アンコールワット、アンコールトム、トレンサップ湖を訪れ、ベトナム系の人々が暮らす沖合の水上集落を船で回ってきた。

 <多くの観光客が興味津々という面持ちで訪れ、珍しい観光スポットであるにもかかわらず、なぜ、どうして、いつまで、こんな不便で非効率な生活を・・・という余計な気持が強くなってしまい、なかなか観光客になり切れません>

 一方、首都プノンペンをはじめ主要都市に入ると、乗用車の9割以上は日本車だが、都市間を結ぶ主要国道では、特に韓国・現代自動車のバス、大型トラック、バンのオンパレード状態だそうだ。そして乗用車でも、韓国製が徐々にシェアを広げつつあるという。

 日本は、政府レベルではカンボジアに対する最大の援助国だが、こと民間投資になれば、韓国の投資額は日本の27倍に上る。

 <こんな田舎に、という場所にも韓国資本のホテル・工場を見てきました。プノンペン市内では、ホテル、料理店、病院、マンション等々、韓国の勢いは日本をはるかに凌駕しています>

 <「日本寿司レストラン」という看板に惹かれて行ってみると、韓国人経営で寿司職人も韓国人、そしてまずい! 鉄面皮の強さ>

 日本も経済特区内だけでなく企業活動で“野戦”に打って出ないかぎり、市場開拓で韓国に勝つことは難しいのでは、と谷川さんは感想をもらす。

 <ただ、カンボジア人の友人の一人はこう言いました。「俺は日本人が好きで韓国人と中国人は嫌いだ。日本人は友人でカンボジアを支援してくれる。韓国人と中国人は横柄でカンボジアを搾取している」と。警句ですね>

 --毎週木曜日に更新--

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