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台湾はなぜ親日なのかという疑問

 韓国と台湾は、おなじ日本の植民地だったのに、なぜ反日、親日と両極端なのか、以前から不思議に思っていた。その疑問が最近、ようやく解けてきた。

 『逆説の日本史』でおなじみの作家井沢元彦さんは、ある雑誌で明確に書いている。

 韓国は、日本から独立した際、植民地統治を絶対悪とし<反日>を国是とした。日本は、朝鮮半島の社会基盤を整備し教育レベルを大幅にアップするなど貢献した面もあったが、独立後の韓国はすべて無視し、マイナス面だけを取り上げて日本を糾弾した。

 日本=悪、韓国=善の二元論とし、歴史をねつ造したのだった。韓国にとって竹島(独島)は日本から最初に“奪還”した領土であり、いまに至るまで独島を独立のシンボルとして愛国教育を進めている。

 反日を理由とした行動、活動なら、何をしても許される。過去の対日関係を見直し評価しようとする者は指弾され、裁判で有罪になる。世にもまれな反日全体主義だろう。

 ひるがえって、台湾の親日については、近年、いろいろな考察が行われている。あるネットニュースの記事によると、1984年、中国・上海で生まれ現在も上海市在住という若い中国人女性は、このテーマについて以下のように踏み込んだブログを書いた。政府・軍・公共サービス関係に勤め、日本語はほとんどできないが、「文献や、香港、台湾、マカオの友人と接触し、中国大陸では主流ではない考えを持つようになった」という。

 中国では、台湾の親日感情を「媚日」とする批判が強く、日本の台湾統治は「残虐な抑圧」に満ちていたものだったとされているそうだ。だが、この女性ブロガーは、台湾統治には見事な面が多く、住民のために尽くした日本人がいたことが、台湾にある親日感の「歴史的理由」のひとつ、とする。

 日本の統治は1895年から始まり、まず派遣されたのは憲兵3400人と警察官3000人で、その後の人口増で計1万人程度に増員された。「こんなに少ない警察力で、台湾では『落し物を着服する人もなく、夜も家に施錠の必要がない』ほど治安がよくなり、しかも社会は急速に現代化した」「この事実に、われわれが学ぶ点は実に多い」

 森川清治朗は警察官として台湾に赴任し、識字率の低い地域に私費で教師を招き、学校を開設した。その後、台湾総督府は徴税の厳格化を進めたが、貧しい村には負担が大きすぎると、森川は行政府に免税を嘆願した。しかし、行政長官は課税に反対する村人を扇動する行為として処罰したため、森川は抗議の遺書を残し、1903年に自殺した。

 1914年、武冨栄蔵という日本人は台湾先住民のひとつタイヤル族の集落に赴任した。ペストが流行し、その嵐がいちおう去った後も、武冨は収容者の手当てを続けたが、自らもペストに感染して死亡した。

 広枝音右衛門は1943年に日本海軍巡査隊隊長になり、台湾人志願兵2000人を率いて、フィリピンのルソン島に赴任した。太平洋戦争末期、米軍に追いつめられると、「台湾人は戦争とは本来無関係だ。ここで死ぬな。責任は日本人である私が負う」と言い、自決した。台湾志願兵は米軍捕虜となり生き残った。

 これらの日本人を台湾住民は「神」と崇め、霊廟を作った。

 中国では、かつて台湾で「支配民族に対する被支配民族の抵抗」の構図があったとする考えが一般的だが、このブロガーはそれに反論する。

 「日本の軍人や警察官を神とした廟で、ぬかづく人もいる。過去の日本人を崇拝する民衆の記憶は、今も存在する」

 共産党の一党独裁下で言論が抑圧されている中国では、国民の歴史観も統制されており、こうした意見はごく少数派だ。しかし、日台関係の歴史をみすえ自分の見方を堂々と公にしたこのブロガーの勇気は称賛に値する。

 一方、北京にある清華大学の博士課程院生・頼奕佑氏は評論文を月刊誌「中国評論」に発表した。これは、中国の公式見解に基づいた歴史観を背景に日台論をテーマとすればどうなるかという、ある意味で興味を引くたぐいのものだ。

 頼氏によると、中国では日本が台湾で実施した「皇民化教育」が現在にいたる親日の理由となっているとされているが、それをしりぞける。皇民化教育というのは、天皇を敬愛し日本式に改姓し日本語を使うことが骨子だった。

 「当時の台湾人の中で、日本語を家庭内で使用する率は全体の1%程度でしかなかった。また、日本姓に改姓した台湾人の数は非常に少なく、日本の皇民化教育が、想像していたほどに上手くは進んでいなかったことがうかがえる」

 「台湾に渡った蒋介石の国民党政権は、日本植民支配地時代の名残を撤廃していった。学校教育や政治思想教育で、蒋介石による日中戦争時の功績が大々的に宣伝され、この世代に育った台湾人に、日本=中国への侵略者というイメージが植え付けられた」

 それでも、2010年3月に公開された調査では、65~80歳の植民地支配を受けた経験がある回答者の中でも58%が「日本に親近感を持っている」と答えた。親近感を持たない人は13%だった。頼氏も、台湾の親日を認めざるを得ない、とする。

 朝鮮半島と台湾での統治政策は大差なかった。韓国の反日全体主義は、ねつ造された歴史観によるものだろうが、それに反論はできても、国民心情を変えるのは容易ではない。

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