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激ブレ現象の時代、本当に恐ろしい時代

 もし、いまの日本に、社会のブレ度を測定する計器があれば、極端から極端へ激しくぶれているのが観測されるだろう。

 2012年末の総選挙もひどかった。いくら民主党の政権がだらしのないものだったからと言って、3年あまり前の選挙で国民に愛想をつかされた自民党が、一転、圧勝するとは、どうなっているのか。国民に期待を抱かせたいわゆる第3極が失速したせいではあるが、有権者の反応は軽佻浮薄としか言いようがない。勝たせ過ぎで、再度の反動が怖い。

 わが国の選挙制度は、ドイツを参考に改革された。今回の結果を「小選挙区制特有の結果だ」としたり顔で解説する人もいる。だが、似たような制度のドイツでは、これほど極端にぶれることはない。小さな中道政党をテコの支点のようにして、保守か左派の2大政党の議席がまさったほうが、中道政党と連立を組むケースがほとんどだ。

 日本では、テレビの世界でも、おなじ激ブレ現象が起きている。

 総選挙の半年前、スポーツニッポンに「ドラマ低視聴率 “逆ミタ現象”は口コミから 『恐ろしい時代になった』」という記事が載った。

 俳優オダギリジョーさん(36)主演の『家族のうた』第3話の視聴率が、3.4%だったことに注目したものだ。4月29日の日曜午後9時からフジテレビ系で放映された。(ビデオリサーチ調べ、関東地区)

 この記事で、前年秋の日本テレビ『家政婦のミタ』が最高視聴率40%を記録したことと関連づけた、民放関係者のコメントが引用されている。

 「今の時代はネットなどで口コミが広がりやすく“面白い”となればミタのような怪物的数字を出すが、“つまらない”となると信じられないような低い数字が出ることが分かった。本当に恐ろしい時代になった」

 記事は、『家族のうた』を“逆ミタ現象”と呼んでいる。

 『家政婦のミタ』では、俳優の長谷川博己さんが、頼りないパパ役を好演し、一躍、人気を博した。これも40%の威力だ。

 ところが、同じ年にテレビ東京で放映された『鈴木先生』という長谷川さん主演のドラマは、最低視聴率が何と1.6%だったという。

 このドラマのことは、2012年12月21日にTBSで放送された『Aスタジオ』で、MCの笑福亭釣瓶さんがゲストの長谷川さんに語っていたのを聞いて初めて知った。

 ひとりの俳優が、1年のあいだに、視聴率40%と1.6%を経験したわけだ。

 『鈴木先生』はぼく自身観たわけではないので、毎日新聞デジタルの記事を参考に書くと、2007年に「文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞」を受賞した武富健治さんの同名マンガが原作となっている。

 ドラマは、「鈴木先生(長谷川)が、どこの中学校でも起こり得る問題について過剰に悩みながら、独自の教育理論を駆使して解決していく様子を描いたもの」だという。放送批評懇談会が選ぶ「ギャラクシー賞11年6月度月間賞」や2011年の「日本民間放送連盟賞テレビドラマ番組部門最優秀賞」を受賞するなど、高く評価された作品なのだ。

 釣瓶さんも、Aスタジオで絶賛していた。それなのに、1.6%にまで落ち込んだ。

 テレビドラマに限らず、映画でも文学作品でも、いいものが売れるとは限らない。それにしても、人びとは、広告やネット上の口コミに、あまりにも踊らされているのではないか。

 しかも、踊らされていることには気づかない。自分の感性や価値観で評価するのではなく、他人がいいと言っているから、という安易な選択をしてしているように思える。

 阿部寛さん(48)主演の関西テレビ、フジテレビ系連続ドラマ『ゴーイング マイ ホーム』(火曜午後10時)も、全話の平均が7.9%と振るわなかった。

 映画『誰も知らない』(2004年)で知られる是枝裕和氏(50)が初めて連続ドラマで全話の脚本・監督を務めた作品だ。山口智子さん(48)があのフジテレビ系『ロング・バケーション』以来16年ぶりの連続ドラマ出演、宮崎あおいさん(27)も10年ぶりの民放連続ドラマ出演という鳴り物入りで始まったが、散々な結果となった。

 信州の森に棲むという伝説の小人「クーナ」探しに、大人たちも巻き込まれていくファンタジーだ。たとえば里山を背景に、母と子がサッカーをする様子を、遠く引いたカメラで映す新鮮な映像と、アコースティックギターの抒情的な曲が、ぼくは気に入っていた。

 小人の話などいまの時代に合わないかといえば、そうとは言い切れない。12月下旬に公開された映画『ホビット 思いがけない冒険』は大好調だそうだ。世界的大ヒット作『ロード・オブ・ザ・リング』3部作の60年前を描いており、やはり3部作として順次公開されるという。

 これは、いわゆるバンドワゴン効果のおかげだろう。『ロード・オブ・ザ・リング』の関連作品だから面白いですよ、とちんどん屋が走り回っているようなものだ。

 さて、テレビでめった打ちにあった『鈴木先生』だが、いいものはいい、ということで、2013年1月に映画版が公開される。主演はやはり長谷川博己さんだそうだ。ぜひ、リベンジして欲しい。

 --毎週木曜日に更新--

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