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これでは、お尻もふけない

 アメリカでは、50~100年前、古い新聞紙をどうしていたんだろうか。弁当箱を包んだり、お尻をふいたりしていたんだろうか(笑)。

 ニューヨーク・タイムズの電子版購読が61%も占めるようになった、という記事を読んで、ふと疑問が浮かんだ。電子版だとお尻もふけない。もっとも、古紙をトイレットペーパーとして使っていたなんて話は、いまどきの若者は信じないかもしれないが。

 それはともかく、1日経って古くなった新聞を人はどうするのだろうか。もう「旧聞」だからと回収袋に入れる人が大半だろう。

 ぼくは長年、新聞記者をしていたから、新聞雑誌のこれぞという記事はスクラップしておく。そして、数か月後、数年後に読み直すことも少なくない。

 2013年も半ばにさしかかろうとするいま、雑誌『SAPIO』2013年2月号のちょっと気になる記事があった。タイトルはこうだ。

 「安倍首相とネトウヨ(ネット右翼)の『危険すぎる関係』」

 この雑誌は、本来、保守的な立場から、できるだけセンセーショナリズムを排して国際政治や国内政治のテーマを中心に編集している。

 でも、この安倍首相をめぐる記事は、タイトルを見ただけで、おやおやどうしたんだろう、と思わせるものだった。記事本文は、「ネットニュース編集者」というよくわからない肩書きのN氏が書いており顔写真も載っている。

 その本文を論じる前に、SAPIO編集部が書いたと思われるリードがすごい。

 <自民圧勝で安倍政権には日本再生の期待がかかる。ところが安倍氏のフェイスブックがすごいことになっている。熱烈支持者の声に乗って「ウヨク発言」のオンパレード。自民党に投票した数千万の有権者は、本当に安倍政権が戦争を始めることを望んだわけではあるまい。圧倒的多数を握る権力者だからこそ、あえてここに警告を発する。」

 これでは、左翼えせ平和主義者らが主宰していた某雑誌そのまんまの論調だ。

 「圧倒的多数を握る権力者」だから、メディアとしてブレーキをかけようとするのはわかる。でも「安倍政権が戦争を始める」という批判、非難はどこから来るのか。ほんとうにそういう事態が起こっているなら大変なことだが・・・。

 記事本文は、安倍氏が選挙中にフェイスブックを活用していた事実から始まる。橋下徹・大阪市長はツイッターで持論を展開しているが、「ここまで直接的かつ頻繁にネットユーザーに呼び掛ける政治家は安倍氏以外にはいない」とする。

 ぼくは、いわゆるネトウヨの発言やコメントには関心がないし、安倍氏のフェイスブックでの発信をフォローしたこともない。

 それでは、「戦争を始める」ような発信があったのかというと、記事に引用されている限りそんなトーンではない。

 昨年夏に、韓国の李明博大統領が竹島に上陸したことに関し、安倍氏は<日本政府は大使召還を含め厳しく抗議すべきです>と発信したという。

 これのどこが「ウヨク発言」なのかわからない。竹島(韓国名:独島)問題の歴史的経緯は長くなるから省くとして、日本のトップリーダーになろうとする人物が、大使召還を主張するのは当然のことだ。

 大使召還というのは、外交上、特定の国に対して不快感や抗議の意味を込めて行う。むしろ、穏便な措置だからまったく問題にはならないはずだ。

 つづいて、安倍氏が8月15日に靖国神社に参拝したことを報告し<北東アジア外交を見直す時を迎えています。それが英霊に応える道でしょう>と書いたことを取り上げる。

 「英霊」などという言葉を使うと、左翼えせ平和主義者なら嫌悪感を覚えるのかもしれない。だが、「祖国のために戦って亡くなった人たち」という意味であり、どの国の指導者もそういう人びとの霊に敬意を払い、献花したりする。無宗教施設のこともあるが、日本では明治以来、靖国神社がその立場をになっている。代替施設を作るのはむずかしい。

 北東アジア外交を見直す、というのも、新しい国際環境を構築しようとするなら当然のことだ。いつまでも「戦争加害者としてのニッポン」という発想にだけとどまるのはやめたほうがいい、とある在日コリアン知識人でさえ言っている。

 記事全体を読んでも、他に「戦争」を思わせる引用はない。筆者は「安倍政権が、戦争を起こして北東アジア外交を見直す」とでも言いたいのだろうか。まさか。

 一方、安倍首相が4月下旬の国会で「侵略という定義は、学界的にも国際的にも定まっていない」と発言し、内外で論議を呼んでいる。

 例によって中韓が批判しただけでなく、ワシントン・ポスト紙社説もステレオタイプで「歴史を直視していない」と書いた。国際法で侵略行為の明確な定義がないのは事実で、安倍首相はそのことを指摘した。

 第一、第2次大戦の2大敗戦国のひとつドイツをめぐっては、「侵略」や「侵略戦争」などまったく政治問題になっていないのに、なぜ日本ではそれが問題にされるのか。

 いずれにせよ、SAPIOのこの記事に限っては竜頭蛇尾で、アジテーション以外の何ものでもない。こんな記事ではお尻もふけない(~_~)。

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