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2013年6月

サッカーをめぐるアイデンティティー

 サッカーの国際試合となると、サポーターはなぜ血湧き肉躍るのか。

 他のスポーツにも言えることとしては、ナショナリズム があげられる。でも、政治的な意味でのナショナリズムとはちょっとちがうだろう。

 たとえば、ザックJAPANの場合、両親ともオランダ国籍のハーフナー・マイクがいるが、サポーターは日本男児とおなじように声援を送る。ルール上は、選手の「国籍」がどこかで代表する国が決まる。日本代表チームは、だから、日本人のチームではなく日本国籍選手のチームなのだ。

 その点で考えると、ぼくらが熱狂する代表チームは、定義の曖昧なナショナリズムによって支えられている。

 もともと、「日本人」と言っても、大陸系や南方系などの混血がくり返されて現在に至るかなり曖昧なものに過ぎない。

 それでも、人間はどこかの国への帰属意識がないとだめなようだ。それがアイデンティティーというものなのだろうか。

 サッカーとは直接関係ないが、海外で暮らしていると、否が応でもアイデンティティー問題に直面する。

 極端な例として、ドイツ人男性と結婚したある日本人女性のことを思い出す。そのひとは、長年ドイツで暮らしていてドイツ語もかなり上手だったが、自分の立ち位置みたいなものがわからなくなったのか、人格的にどこかおかしくなっていた。

 あるときは、自分が日本人であることをことさら強調して周囲と摩擦を起こし、別のときには、ドイツ人と結婚してドイツ社会にも通じていることを前面に出し、またも周囲と摩擦を起こしてしまう。

 正直言って、その女性とはあまり近づかないようにしていた。心が日本人でもドイツ人でもない深い闇に落ち込んでいるようで、ちょっと怖かった。

 祖国というのは、一種のフィクションなのだろうが、人間の心の安定のためにはとても大切なようだ。「人類みな兄弟」みたいなスローガンはあっても、ぼくたちの心には領土領海みたいなものがあるし、どうやらそれが必要らしい。

 だから、サッカーW杯は国別対抗として特に燃え上がるのだろう。

 ぼくたちがサッカーの国際試合に熱くなるのは、もうひとつの理由がある。

 サッカーというスポーツには、柔道などのような体重別みたいなものはなく、身長でも体重でもなんのハンディもなく相手と肉弾戦をしなければならない。

 たとえば、平均身長が世界でもっとも高いとされるオランダの街を歩いていると、2mくらいのひととすれ違うことは珍しくもない。

 身長 172cm、 体重63kgの香川真司が、そういう大男を翻弄するシーンは痛快そのものだ。これは、オランダやドイツのサポーターにはたぶん味わえないサッカーの魅力だ。

 さて、2013年6月23日、われらがザックJAPANは、コンフェデレーションズカップの予選リーグ最終戦で、残念ながらメキシコに1対2で負けてしまった。

 前半の終わりごろから試合終了まで、本田圭佑や香川らの足はほとんど止まってしまった。それも、無理はない。

 5月末、ヨーロッパ各クラブの日程が終了し、ザックJAPANのメンバーは次々と帰国して集合した。愛知県豊田市でブルガリアと親善試合をし、埼玉スタジアムではオーストラリアと引き分けてW杯へのチケットを手にした。

 息つく間もなくカタールへ飛びイラクと戦ってから、14時間のフライトでブラジル入りし、コンフェデ杯に臨んだ。ホームで万全の調整をしていたブラジルと戦って0対3と完敗したのは、イラク戦からわずか4日後だった。それでも、なか3日で体勢を立て直し、イタリアと激戦を演じた。2ゴールを先制したが、微妙なハンドの判定などもあって、結局、3対4で惜敗した。それからわずか2日の休養でメキシコと対戦したのだ。

 ある日本人サッカージャーナリストは「オーストラリアに勝って予選突破を決めてから、まだ18日しか経っていないのだ」と、慰めるように書いた。

 ブラジルに完敗してがっくりし、イタリアにあとちょっとで勝つところまで持って行って喜び、メキシコ相手には最後に1点を返すのが精一杯でまたもため息をつく。

 サポーターは、一喜一憂が許される。というか、それが楽しみで応援している。

 問題は、監督や選手自身が一喜一憂しているようにみえることだ。勝っても負けても、来年のW杯本大会をみすえ、どっしり構えていて欲しいのだが。

 あれだけのタイトなスケジュールのなかでも、ザッケローニ監督は、主力選手を先発として使ってきた。

 決勝トーナメント進出の道が閉ざされたあとのメキシコ戦は、消化試合になってしまったから、サブの選手たちを使うのかと思った。でも監督は、本田や香川、長友らにこだわった。本田は足を引きずり、長友は足を痛めて退場した。

 それでも、試合後、ザッケローニ監督はこう言った。「チーム全体を変えるとチーム全体のアイデンティティがなくなってしまう」

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膝地獄の悲鳴も消えて ヨガ教室

 ある日の午後、体がだるくてしようがない。ソファーに横になったまま起き上がれず、トイレに立つにも大変だ。こんなことが一度だけあったな。

 インドにいた1988年6月、肝炎に罹った。また、肝炎か。でも、なんだかちがうな。

 その日の午前、ヨガ教室に行き、1時間みっちり体を動かしてきた。これで3回目で、かなりハードな体の動かしかたもした。その反動で体がだるいのだろう。

 午後から翌日の夜まで、食事も少しだけ口にした程度でほとんどなにもできなかった。 だるさが取れると、体が軽くなった。首の骨などこりがひどくて、首を回してもこりこりという音さえしなかったのに、いま回すと音がして頸骨が伸びたように感じた。

 翌週、いつもの時間にヨガ教室へ行って、H先生にだるさの話しをすると、ちょっと驚いていた。「もう、好転反応が出たんですか。ふつうは週1のコースで2~3か月はかかるのに。でも、それで一皮むけたように体が良くなっていきますからね」

 好転反応は、ふつう、スポーツをしてるひとは早くでるそうだ。過去数か月間、ジョギングをしているから、体が早く反応したのだろうか。

 先生によると、現代のヨガは、その方法や目的によって細分化されているという。ぼくたちが習っているのは、骨盤などの歪みを治す「修正ヨガ」と呼ばれるものだそうだ。

 よくテレビでは、フローリングに一人用のマットを敷いて、その上でさまざまなポーズを取るヨガ風景を観る。でも、ぼくたちが習っているのは、ちょっとちがう。

 基本形として「猫のポーズ」とか「魚のポーズ」などがあるが、先生はそういう用語をほとんど使わない。

 肩こり、腰痛を治すのが主な目的で、まず、骨盤を前後に動かすことから習う。両手を上に上げるときも、腕の筋肉で上げるのではなく、肋骨と鎖骨を意識して上げる。

 H先生は「もうすぐ年金がもらえるのよ」と喜んでいるおばあちゃんだ。30年以上、ヨガを指導しているそうで、体は柔らかく均整がとれている。小柄で短めの髪だから、印象としては『なごり雪』でおなじみのフォーク歌手イルカさんだ。

 「床に上向きに横になって。全身をリラックスさせて胸だけをそらせます。背骨の一つ一つをひとつずつ伸ばしていく感覚を持って、頭のてっぺんが床につくように胸をぐぐぐっとそらします」

 「そうです。そうです。最初はなかなかできないひとが多いのに、うまいですね」

 おばあちゃん先生は、褒めて生徒のやる気を引き出すのがうまい。

 先生がヨガをはじめたのは、もう40年も前のことらしい。そのころは、若い女性や主婦がふつうにヨガを習う時代ではなかった。どちからと言えば、ヒッピーなどインド文化をかじった若者がやるイメージがあった。

 なんでも、H先生の師匠というのがすごかったらしい。弟子には歌舞伎の板東玉三郎さんもいたそうだ。『義経千本櫻』の静御前などを演じさせれば、当代一の色っぽさをかもし出す。内外のたくさんの賞を受賞している、日本一の女形役者だ。

 「忙しいので、師匠が楽屋などへ出張教室に出向いていたんです。私もついて行ったことがあって、華やかな歌舞伎の舞台裏では、こんな厳しい稽古に加えヨガまで取り込んでいるんだと感激しました」

 「玉三郎さんは、やっぱり天才でしたね。師匠がちょっと教えただけで、完璧にそれができる。ヨガのおかげで、芸域がずいぶん広がったんじゃないかな」

 異色のお弟子さんとしては、宝塚歌劇団の有名な振り付け師もいた。「ここの教室でも、毎回、言っていますが、腕は腕の筋肉で持ち上げてもきれいに上がらない。やっぱり、肋骨、鎖骨を意識して伸ばすんです。そう!反対の手と比べてごらんなさい。長さが明らかにちがうでしょ。それが、歌舞伎やバレエなどの踊りでも活きるんです」

 師匠は11年前に亡くなったが、46歳のとき、当時の皇太子(いまの天皇)にスキーを教えた指導者について習ったら、一日でマスターした。「あと30歳くらい若かったら、オリンピッ選手になれたのに」と言われたという。

 ぼくの教室仲間には30歳代のナースもいる。H先生に言わせれば、上半身が柔らかすぎる。体で大切なのは全身のバランスで、上半身と下半身のアンバランスは、時に重い症状を招くという。そのナースは肩こり、偏頭痛がひどく、過労で吐くこともあるそうだ。

 おばあちゃん先生は、基本中の基本として「立ちかた」も教えてくれる。股関節と足の親指の付け根で立つのだ。すると、ちょっと押されたくらいでは体は揺れない。インド発祥のヨガは、武道や能、狂言、日本舞踊などにもつながっている。

 ぼくは、かみさんをヨガ教室に誘い込んだ。ひとりが床に寝て膝を立て、もうひとりがその上に仰向けになって背をそり返し足を伸ばす技がある。背中に膝頭が食い込んで、ひとによっては悲鳴をあげる。通称「膝地獄」という。

 かみさんは、最初、ひいひい言っていたが、それでも挑戦をつづけたら背から肩甲骨あたりの張りがとれ、調子がよくなった。

 なぜか、ぼくは最初から「膝地獄」をしてもらうと気持ちが良く、先生が不思議がっていたが。

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おめでとう! くすぐり商法の季節

  今年もこの季節がきたかぁ、と思わせられることがあった。

 といっても、紫陽花が近所でも咲き出したからではない。

 行きつけのスーパーで、「旅行券5万円分をゲットしよう!」というキャンペーンがはじまったからだ。

 毎週土曜日午前、急ぎの仕事がない限り、かみさんにつきあってショッピングに行く。行き先は、大中小約20軒のスーパーのどこかだが、この前行った店は、毎年この季節におなじキャンペーンをする。

 買い上げ1000円ごとに、抽選券が1枚もらえる。今回はお米やアルコール飲料をまとめて買ったから、10枚もらった。

 その場で書いて抽選箱に投函するのだが、記入するのがふたりがかりでも結構大変だ。しかも、どういう結果になるかはほぼわかっているから、実はあまり「お楽しみ」じゃない。

 特賞の旅行券5万円分が当たったという話は、聞いたことがない。店でも結果を発表しないので、はたして特賞なるものが存在するのか、ほんとのところはわからない。

 毎年の結果は決まっている。かみさんに「特選日帰りバス旅行券」が当たる。ぼくに当たったためしはない。

 かみさんは分析する。

 「ふつう、主婦がひとりで日帰り旅行にいくことはないから、夫か友だちを誘うでしょ。そうすれば、少なくとも日帰り旅行のコストひとり分のうちいくらかは、スーパーと旅行会社のもうけになるんじゃないの」

 案の定、今年もかみさん宛てに「ご当選、おめでとうございます」という手紙がきた。これまでとちがうのは、“当選”した本人が無料の日帰り旅行券をもらえるのではなく、当選者と同行者全員の旅行代金が「おひとり様あたり3980円」で参加できるという。

 仮に夫婦で参加すれば、計7960円だから、ほぼこれまでのひとり分の代金になる。

 「なんだ、やっぱりふたりで行けば、旅行代はおなじじゃないの」

 かみさんが指摘するまでもなく、結局は、同額の支払いになる。

 それでも、そのスーパーによく行くのは、魚介類や肉類、野菜類のクオリティが高く、他に生活用品、家具、電化製品などもそろっているからだ。それと、うさぎ派のわがファミリーとして捨てがたいのは、店内にペットショップがあり、子うさぎやうさぎの餌を売っている点だ。

 「ご当選、おめでとうございます」の手紙をみると、今回の行き先は信州八ヶ岳という。「天然の湧水・新鮮お野菜・高原チーズ・・・お楽しみ満載!」なんだそうだ。

 まず、山梨県甲府市の宝石店へ寄る。工房見学60分、滞在90分というから、宝石を買わせそのコミッションはスーパーに、という仕掛けか。

 つづいて・・・「八ヶ岳」とパソコンで入力しようとしたら「奴が抱け」と変換された(^^;。

 さっきはうまく変換できたのに、なんで突然下ネタに?

 答えはこうだ。ヤツガダケではなくヤツガタケが正しい読みだからだった。

 さて、つづいて、八ヶ岳美し森ファーム(標高1542m)へ行くのだが、「ボトルをご持参いただければ」天然の湧水を持ち帰れるという。なんだかせこい。

 前に、千葉房総へまったく別の日帰りバス旅行で行ったときには、途中、野田市の有名な醤油メーカーで、ボトル入りの醤油などをばんばんくれた。

 旅行代金が「おひとり様あたり3980円」ぽっきりだから、こんなセルフサービスみたいになっちゃうのか。

 もっとすごいのは、「八ヶ岳高原野菜ほうれん草狩り」という企画だ。みかん狩りやいちご狩りはよくあるが、ほうれん草狩りして面白いのだろうか。滞在時間は約20分となっている。収穫した野菜はお土産として持ち帰れるとあるものの、グラムいくらでお金を取るのかもしれない。

 チーズケーキ工房へ寄って全行程は終わる。うちのかみさんはチーズケーキに目がないほうだから、もしこのツアーに参加したら、きっと「子どもたちにもおみやげ~~」とかなんとか言って、まとめ買いするだろう。

 これって当選商法とでも呼ぶのかな、と思ってウィキペディアで調べたら、あったあった。

 <当選商法とは当せんする事が確実の中身が同一の抽せん箱を用いた抽せんをいい、当せんした客を称賛して気分が高揚した勢いで入会や購入を促す商法。「福引商法」「おめでとう商法」とも呼ばれる>

 うちの娘は、これでミネラルウォーター供給機を契約したが、ひとり暮らしでムダだから解約した。

 おめでとう商法を法律で規制しなくていいのかなぁ。不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法)にふれそうだが、ま、景気刺激策のうちか。

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6万2000人のため息、そして、地鳴り

 <あの精神力はなんだろうね!!>

 <スターってそういうものでしょう!!>

 試合後、妹とこんなメールのやりとりをした。

 2013年6月4日は、いつもとなにかちがう一日だった。早く夜になって欲しいが、半面、どきどきもする。

 午後、郷里の母から電話がきた。「夜は忙しいだろうから、いまのうちに伝えておくけど・・・」。先週末、緊急入院した超高齢の父のようすを伝えてきた。

 午後18時49分、妹からきた最初のメールはシンプルだった。<行ってる?>

 その意味はひとつしかない。サッカーW杯アジア最終予選の地、埼玉スタジアムへ行っているかということだ。オーストラリアと戦う。引き分け以上でブラジルへ行ける。

 埼スタは地元だから、もちろんチケットにトライした。かみさんの分と2枚をネットで申し込んだが、抽選ではずれた。50万人が応募した、と後で知った。

 試合の3週間ほど前、ネットニュースが「チケットが完売し、当日売りはない」と伝えた。???。なんでも、キャンセル分を再販売していたというのだ。知らなかった。せいぜい数千枚だろうが、20万人が応募したらしい。

 結局、家でテレビ観戦となった。ひとり暮らす息子も帰ってきて、かみさんと3人で応援態勢を敷いた。ぼくは、いつものようにサムライブルーの青いタオルを肩にかけた。2011年9月2日のアジア3次予選、北朝鮮に勝ったとき、埼スタの売店で買ったものだ。もう引き分けかと誰もが思った後半ロスタイム、DF吉田のヘディングで勝ちきった。

 対オーストラリア戦がはじまる前の午後18時57分には、妹から<本田カッコイイ>というメールも届いた。ハートマーク付きだ。

 7時34分、ゲームがはじまった。最終予選で1勝しかできず崖っぷちに立つオーストラリアは、がんがん攻めてきた。ザックJAPANも悪くはない。

 相手ゴール前で、MF遠藤が見事な切り返しを見せ、利き足ではない左でシュートしたが、わずかにはずれた。MF香川の正面からの強烈シュートは、相手GKシュワーツァーが右手一本ではじいた。

 埼スタで観戦していた人は、後でこう言っていた。「6万2000人が一斉にため息をつくのを初めて体験しました」

 振り返れば、オーストラリアのシュート計10本に対し、日本は19本を打ったが、決められない。

 後半36分には、MFオアーのクロスが流れてゴール右上隅に入ってしまった。サッカーでは、決めるところで決めないとこういうことがよく起こる。テレビ朝日の解説者松木さんは「まだじゅうぶん時間はありますから」と言ったが、あと10分しかない。

 身長で上回るオーストラリアは、日本がコーナーキック(CK)を得たとき空中戦にもちこもうと、ショートコーナーをさせないよう徹底していた。そのシーンが、前半に3回つづいた。

 後半も間もなく90分になろうとするとき、日本が4回目のCKを手にした。ボールを蹴ろうとするMF清武のところに、MF本田が猛然と近づいてパスを受けた。オーストラリアの一瞬の隙を突いた。

 本田は、振り向いてクロスを放った。それが、相手DFマケイの左腕に当たりハンドとなった。ぼくは、当然、PKの名手遠藤が蹴ると思った。しかし、本田がボールをつかみPKマークへ近寄っていく。

 W杯予選で、本田は2回、PKをど真ん中に蹴り、そのうち一度は止められている。今度はおそらく、右隅に速いボールを蹴り込むのだろうとみた。

 テレビ視聴率から推定すると、6000万人以上の日本人が固唾を飲んでいた。本田は、ど真ん中に強烈な球を蹴り込んだ。GKシュワーツァーは向かって右へ飛んでいた。

 埼スタにいたひとは言う。「地鳴りがわき起こった」。ザックJAPANのW杯進出は、その瞬間に決まった。

 息子とぼくは、試合直後、本田のPKについて話し合った。世界の一流GKにとって、こんなときに仁王立ちする選択肢はほとんどない。もし、左右どちらかに蹴られれば、言い訳がきかない。

 キッカーの動きを見て、一か八か横に飛ぶしかない。とりわけ、GKシュワーツァーは手足が長くスパイダーマンのようだ。もし、真ん中に蹴られても足で止める可能性はある。

 本田は、シュワーツァーの顔面をめがけて蹴った。GKの足はまるで届かなかった。なんというくそ度胸か。

 翌日、ザックJAPANの面々は記者会見に臨んだ。主力選手は、喜びよりも口々に課題を語った。ボール支配率57.3%だったのに、流れのなかで得点を挙げられなかった。

 ただ、DF吉田が放ったお笑いコンビ・サバンナ八木真澄のギャグが、このチームの空気を物語っていた。「『ブラジルの人、聞こえますかー。もうすぐ行きますよ』。お後がよろしいようで。ありがとうございます」

 筆者から:ウェブサイト【文芸工房ブーゲンヴィリア】をぜひ覗いてください。
 http://rab-kisa.biz

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