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メディアが参戦した出来レースっぽい秘密保護法騒ぎ

 特定秘密保護法案が、2013年12月6日深夜、可決・成立した。永田町での大騒動をみて、いわゆる55年体制のもとでの「金丸・田辺ライン」を思い出した。つまり、与野党の出来レースっぽく、本質から目をそらした左派マスメディアも見苦しい。

 1970年代後半、ともに国会対策委員長だった自民党の金丸信と社会党の田辺誠は、親密なパイプを築き、80年代には国会をふたりで秘密裏に動かしていた。万年与党の自民党が強行採決する際、万年野党の社会党は身を挺して阻止しようとする。だが、それはやらせだった。自民党は「実」を取り、社会党は「面目」をかろうじて保つのだった。

 今回、安倍首相は、民主党をはじめとする野党側に徹底抗戦されると、一見唐突に譲歩策を打ち出した。特定秘密のチェック機関として内閣官房に「保全監視委員会」、内閣府に「情報保全観察室」と「独立公文書管理監」を設置するとした。

 野党や一部世論に折れたように映るが、そんなことはないだろう。最初から譲歩案を表に出していたら、野党はさらに譲歩を迫る。だから、あえて強硬路線から行った。

 一番の争点は、第三者チェック機関に外部の民間人を入れるかどうかだった。特定秘密保護法は、新設された日本版NSC(国家安全保障会議)が機能するために必要だった。日本は、諸外国に比べ機密が漏れやすい風土がある。それでは外国からの極秘情報が手に入りにくく、国の死活を握る情報の共有ができない。特に、“平和ぼけ”した識者などがチェック機関に入れば情報のノーズロ状態になる恐れは十分にあった。「民間人を第三者機関に入れるな」というのは、アメリカなどからの強い意向だったのは容易に想像できる。

 政府の拙速なやり方のまずさは否定できないが、最初から“落としどころ”は、アメリカをモデルとし、国会に監視組織を設けることだったのだろう。

 一方の民主党など野党も、自民公明両党に国会の圧倒的多数を握られている状況で、本来ならなす術はなかった。だから、国民世論を煽り徹底抗戦に出たが、結果は最初からわかっていたはずだ。政府に“譲歩”させたことで最低限の面目を保ったつもりなのだろう。

 国会周辺では、主催者側発表で最大1万5千人ものデモが行われた。そのあり様をテレビで観る限り、太鼓を叩いてシュプレヒコールをあげるなど新興宗教かと思わせるものだった。民主党など一部の野党というより左派マスメディアが、世論を煽りに煽ったためだ。

 石原慎太郎氏は、与党と一線を画す野党・日本維新の会の共同代表でありながら、安倍首相に「頑張って」と異例のエールを送った。読売新聞によると、石原氏はこう述べた。

 「この法案が通ると、憲兵が国民を取り締まるような嫌な時代が来ると大新聞が一面に掲載している。(首相の祖父の)岸首相時代の1960年の安保騒動に似たヒステリー現象が起きている」

 60年安保のとき、ぼくは小学1年だった。何かに反対する際には、意味もわからないまま「アンポハンタイ」と言ったものだ。確かにそういうヒステリー現象があったが、問題は、後世ふり返って、日米安保条約があったほうが良かったのか無かったほうが良かったのかだ。

 もし、条約による日米同盟がなければ、今ごろ尖閣諸島どころか沖縄も対馬も中国や韓国のものになっていたかもしれない。日本に限らないが、煽られた世論はそれだけヒステリックになる。

 秘密保護法案反対で煽ったのは、朝日新聞、毎日新聞、共同通信、一部テレビだった。日本の安全保障のためには日本版NSCが要り、それを機能させるためには機密情報漏れを防ぐ秘密保護法が不可欠だという本質に気づかないふりをした。

 その煽り方はえげつないほどだった。典型例が朝日の世論調査だ。11月9、10の両日、全国定例世論調査(電話)で特定秘密保護法案の賛否について聞いた。「賛成」は30%で「反対」が42%と多かったなどと報道したが、その設問があきれる。

 「政府に都合の悪い情報が隠され、国民の知る権利が侵害される恐れがあるとの指摘もある」と説明した上で、賛否を尋ねたのだ。

 ぼくは、読売記者時代、世論調査部に編集局内出向していたことがあり、その道のプロを自認している。朝日の設問は思いっきりバイヤスをかけたもので世論調査というより「世論操作」と呼ぶほうが正しい。読売だって国内政治に関してはバイヤスをかけることがありバカバカしかったが、これほど露骨な例はさすが朝日ならではだ。

 共同の調査も同様だった。それで煽られる国民もかわいそうだが、国会前に集結した人びとは「民主主義と正義のために戦う」錯覚のヒロイズムに酔っていたのだろう。

 竹下内閣で3%の消費税が導入されたときも、朝日は反対の大キャンペーンを展開した。安保であれ消費税であれ秘密保護法であれ、冷静に考えて、日本という国にとって必要かどうかで論じるべきではないのか。バイヤス新聞に「知る権利」などと言われたくない。

 産経の高橋昌之記者が、12月7日、こんなコラムを書いていた。タイトルは「朝日・毎日は特定秘密保護法案に反対するほど取材しているか!」

 「もうこれ以上、『反対ありきの反対論』で国民を誤った方向に導くのはやめてほしいと思います。『国民の知る権利』が守られるかどうかは、特定秘密保護法案ではなく、われわれ記者の気概と姿勢にかかっているのです」

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