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大震災が起きて、出雲はどうなったか

 風が吹けば桶屋がもうかる。大震災が起きて出雲がもうかる。被災したひとたちにはほんとに申し訳ないが、どうやらそれは事実らしい。

 東日本大震災以降、ひとりで生きていることになんとなく不安になり結婚を望むひとが多くなった、とさまざまなメディアが伝えた。そんなもんかなぁと思っていたが、ブライダル産業もどうやら盛況だそうで、それに関しては結構なことだろう。

 そして、婚活、いや縁結びと言えば、なんと言っても出雲となる。出雲大社(島根県出雲市大社町)はもちろんのこと、スサノオノミコトとクシナダヒメの“愛の巣”ともいえる八重垣神社(松江市)なども、いまや縁結びのパワースポットとして全国からひとが押し寄せている。

 島根県は、2010~2013年度の4年間にわたって展開した観光キャンペーン『神々の国しまねプロジェクト』の成果を誇らしげに発表した。プロジェクトでは、首都圏などで「しまね」「出雲」を売り込む人海戦術などを官民あげて行ったそうだ。

 努力は報われる。4年間で島根を訪れるひとをのべ500万人増やそうと目論んでいたが、じっさいに来てくれたのはその倍以上の1170万人だったという!

 キャンペーンは漠然と企画されたわけじゃなかった。2012年が古事記編纂1300年に当たるため、出雲大社周辺で『神話博しまね』を開催した。ぼくは、まだ、出雲へUターンする前だったが、かみさんと帰省したおりに行ってみた。田舎でやることだから、せいぜい県内や近隣県のひとが来るだけじゃないか、と侮っていた。だが、どうしてどうして、臨時駐車場には石川や熊本、千葉ナンバーなどの車もあり、かなり広範囲にわたってキャンペーンが効いていた。

 島根県教育委員会が主催する文化事業かと思ったら、観光振興課が仕組んだ観光客誘致が目的のイベントだった。ヘンにお勉強臭くないのが良かったかもしれない。

 そして、強烈なインパクトをもたらしたのが2013年春からいまもつづく出雲大社の本殿遷座祭、いわゆる『60年に一度の大遷宮』だ。大遷宮で神様の住む社を新しくすると御利益もいちだんとパワーアップする、という言い伝えがまことしやかに広められた。

 出雲大社の主祭神・大国主命は、あまり知られていないがヘビの神さまだ。というか、この列島をヤマト王朝が支配する前に崇められていた神々はほぼすべてヘビまたは竜の化身だった。

 ぼくの私見だが、神社は木造建築だから一定期間後に建て替えなければならないとしても、建物を新調する遷宮の宗教的な意味はヘビの脱皮から来ているんじゃないかと思う。

 そもそもなぜ、古代日本でヘビが神と崇められたか。脱皮して成長する姿に超自然的な霊力をみたから、という民俗学者もいる。

 さて、結婚願望の女の子たちが出雲ブームの引き金を引いたかどうかは知らないが、出雲大社門前町の神門通りや境内には、これまでにみたこともないほどの善男善女があふれた。その陰では、首都圏のメディアに働きかけたり、女性をターゲットにした旅行商品をふやしてもらったりするなど、みんなで知恵と汗を絞ったそうだ。たしかに、ここ数年、テレビの全国放送でも出雲がらみの番組が格段にふえた。

 ぼくがみるところ、出雲人は押しが弱く引っ込み思案で創意工夫もあまり得意じゃないが、やればできるじゃないか。60余万人しか人口のいない島根県で、4年間のべ1170万人の観光客増加というのはやっぱりすごい。大遷宮だけで経済効果は約300億円というニュースもあった。

 ただ、出雲観光最大の目玉である出雲大社のお膝元では、それほどお金が落ちていない。一番お金を使うのは土産物ではなく宿泊と飲食だが、大社町には観光ホテルがなく老舗旅館が数軒あるだけだ。大半の観光客は玉造温泉などへ流れたとされる。ある大社町民が嘆いていた。「温泉を掘り当てホテル、旅館をぼんぼん建てればお金が落ちるじゃないか、とボーリングしたんですけど、結局、お湯は出なかったね」

 大震災は、宗教心とはおよそ関係ない現象も生んだらしい。仕事でちょっと読みたい記事があって週刊『FLASH』2014年4月15日号を買った。そこに「日米韓中の不倫徹底比較」という特集があった。離婚問題アドバイザーとかいう人物がこんなコメントを寄せている。

 「震災以降、『世の中何が起こるかわからない』という空気が流れました。そこで、一人身の女性が『誰かにすがりたい』という気持ちから不倫に走るケースをよく見ました」

 大震災が起きると独身女は不倫に走る――という三段論法の法則は面白い。不倫女は、奥さんと別れて自分といっしょになって欲しいと思っているが、それを切り出すと男が怒り出すんじゃないかとためらってしまう。アドバイザー氏は語る。「結果、女性がいいように男の人に遊ばれてしまうという現状があるようです」

 また、薄給で激務の「ブラック企業」に勤める若い女性も、常に不安と隣り合わせで不倫に走るケースが増えているそうだ。

 いつの時代も不倫はろくな結果をまねかない。出雲へ来てまじめに婚活したほうが身のためだよ。

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