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ザックJAPANと黒魔術

 サッカーW杯ブラジル大会は、ベスト8が出そろいいよいよ佳境に入る。でも、われらがザックJAPANは1分2敗でグループリーグを敗退し、世界最大のスポーツの祭典日本バージョンはすでに終わってしまった。

 ふり返れば、初戦のコートジボワール戦がすべてだった。しばらくの時間が経ったいま、改めて録画を観てみた。

 気温26度、湿度77%。まとわりつくような蒸した空気そのままに、日本の先発メンバーの動きは重い。

 ザックJAPANのこれまでの試合はすべて観てきた。W杯3次予選の対北朝鮮戦は、埼玉スタジアムで生応援した。0ー0のじりじりした展開で、後半アディショナルタイムにCB吉田の劇的ヘディングシュートが決まった。近くの席で応援していた見知らぬサポーターらと思わずハイタッチして喜びを分かち合った。

 コートジボワール戦は、本大会の重圧なのか、これまでみたことがないほど重かった。前半5分、左サイドの香川は中央の本田へのパスをあっさりミスして敵にボールを奪われ、相手のファーストシュートを許した。

 会場のあるレシフェ一帯は、試合前どしゃ降りだったが、なぜかその上にスプリンクラーで散水されていたという。ピッチが重ければ、日本が生命線とする速いパス回しが妨げられる。だが、香川のパスは失速して本田に届かなかったわけではない。まるでちがう敵のMFがいる方向へ蹴ってしまったのだ。何かがおかしい。

 本田がひとりで最前線からボールを追っても、中盤や守備の選手の全体的な押し上げがない。ザックJAPANは、前線と守備陣の連動でボールを支配し攻撃に結びつけるのが戦略の基本だったはずだ。それができていない。

 NHKで解説していた岡田武史前代表監督は、11分、「重苦しいですねぇ」と声を上げた。それでも16分、スローインから長友が中へパスを出し、受けた本田が切り込んで左足で豪快にゴールへたたき込んだ。その後、勢いづいた日本のペースがつづいたが、5分くらいしか持たなかった。またも香川のミスから攻勢に出られ、CB吉田がかろうじてファウルで止めイエローカードを出された。

 前半はどうにか1点をリードしたまま終えたが、後半の途中からはさらに動きが重くなった。16分、大エースのFWドログバが投入されると、日本の守備陣はびびったのか、ずるずるとラインを下げていった。そして18分と20分、左サイドで完全フリーになった相手からクロスを上げられヘッドで立て続けに失点し、試合は決まってしまった。

 日本のボール保持率はわずか43%だった。全選手の走った総距離は約108キロで相手を上回ったが、長友に言わせれば「ボールを回され、走らされ、消耗させられた」

 このゲームでは、何が起こっていたのだろう。すべてが、らしくない展開だった。W杯開幕前、報道があふれるなかで特に気になる記事があった。「コートジボワールは呪術師帯同か W杯日本が最大警戒すべきはこれ?」という見出しで、J-CASTニュースが初戦の2日前、ネットに流した。13日の金曜日だった。

 <コートジボワールをはじめ、西アフリカ諸国はいまも呪術が盛ん。アフリカ大会や過去のW杯では、呪術師が対戦国に呪いをかけるといった話題が何度も出ており、呪術師が逮捕されたケースもあった>

 2002年、カメルーンのコーチが試合前にピッチの上に何かを置き、それが「(対戦国)マリ代表を呪う行為」とみなされ、コーチは表向き「身分証明書を提示しなかった容疑」で逮捕された。<アフリカサッカー連盟は、対戦国同士が相手選手を呪い合っては収拾がつかなくなるとして、この大会での呪術とその儀式を禁じていた>という。

   2010年のW杯南アフリカ大会では、カメルーン代表チームが呪術師を帯同して現地入りしたとの報道が流れた。スポーツ報知も「アフリカでは他人に危害を加える黒魔術を禁止している政府はあるが、邪気のおはらいや勝利を願う呪術は盛ん」と報じた。

 黒魔術など日本では馬鹿げたことと一笑に付されるかもしれないが、海外ではちょっとちがう。かつて、ミュンヘンへ出張し知り合いのYさんとビールを飲んでいるとき、「こっちではいま、若い女の子のあいだで黒魔術が流行っていてメディアで問題になっています」と聞いた。どうやら、日本の子どもたちがこっくりさんにはまったりするような感覚で黒魔術をやったりするようだ。

 ヨーロッパにも様々な魔術があるらしい。現地の宗教や歴史が関わって生み出されたもので、一般的には正方形の紙に縦・横・ 斜めの列の数字の合計が同じになる「魔方陣」を書いて、呪文を唱える。東洋のヨガ、陰陽道、密教なども魔術にふくまれるそうだ。自分の深層意識の「力」を利用する点が共通しているとされる。

 4万2000人もの大観衆でふくれあがったスタジアムで、呪術が効いたとは信じられない。ただ、シュートもクロスも0本に終わった香川をはじめ日本の選手たちが、呪術報道を目にしていて、緊張感のなかネガティブな自己暗示にかかってしまった可能性はある。

 ザックJAPANという言葉がもう聞かれなくなるかと思うと、祭のあとのさみしさが漂う。

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