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宗教を捨てる時代はもう訪れている

 お盆も終わり、いつものごとくUターンラッシュがテレビのニュースで流れていた。郷里の実家や行楽地へ行った帰りなのだろうが、祖先の霊を家に迎えともに過ごすというお盆本来のありかたは、急速になくなりつつあるのではないか。

 このお盆に親戚を3軒回ったが、段飾りや盆提灯を飾っている家は1軒もなく、ふだん通りの仏壇で線香をたむけた。わが家では、おばあちゃんの指示で、昔ながらの盆提灯などを出したのだが。

 「自分が死んだら、葬式はしなくていい。墓もいらない。それでいいんだ」。いま、そう考えるひとが急増しているのだという。週刊現代が、都市部で広まりつつあるそういう死に方を特集していた。

 それを「ゼロ葬」と呼ぶのだそうだ。宗教学者の島田裕巳さんが出版した『0葬――あっさり死ぬ』がきっかけだという。要するに、火葬場から遺骨を引き取らず、墓などはいっさい作らない方式だ。

 週刊現代は、数年前に流行った『千の風になって』という歌を引き合いに出している。

 ♪私のお墓の前で 泣かないでください
  そこに私はいません 眠ってなんかいません
  千の風になって 千の風になって
  あの大きな空を 吹きわたっています♪

 作詞者不詳の外国の歌に、作家の新井満さんが日本語の歌詞をつけた。いろんな歌手が歌ったが、イケメンで声量抜群の秋川雅史さんの歌が大ヒットした。

 意表を突く歌詞というより、現代の日本人の多くが漠然と抱いていた思いをあえて正面から歌い上げたのが、人びとの心を打ったのではないか。

 「両親は新潟のお寺で、代々の墓にお世話になっています。父も母もご住職と親しくて、祖父母の月命日にお参りをしたり、お祭りの用意を手伝ったり、病気で入院するまで、濃いお付き合いがあった。でも、私はずっと東京にいて、そういう交流がないんですよ」。週刊現代にこう語る港区在住の男性(73)は、『千の風になって』に共感したひとりだ。

 宗教学者の島田さんは、いまの社会背景についてこう述べている。「都会では年忌法要の風習も消滅しつつあり、仏壇のない家がほとんどです。火葬するだけで、お経をあげず、葬式もしない葬送を『直葬』と言いますが、最近は都市部を中心に直葬が急増しています」

 火葬場は、遺骨を引き取る前提で運営されているが、「ゼロ葬」として遺骨を“処分”してくれるところがあるだろうか。葬儀社にたずねるか、直接、近くの火葬場に聞いてみるしかないという。

 出雲へUターンしてきて面倒くさいことのひとつは、お寺との付き合いだ。知らなかったが、うちの菩提寺では「年会費」に相当するものが、昔の家の格によって6等級に分かれていた。わが家は上から3番目で、これまで19,000円払ってきた。

 しかし、さすがに「いまどき、家の格などというのは実態に合わないから、全檀家均一にすべきだ」という声があがった。平成26年度から3年間は3等級に再編し、その後は均一とすることが決まった。わが家は3,000円増えるが、それもしかたない。

 一番下の等級の家は29年度には14,000円もアップする計算で、不満はあるだろうが、だからと言って「檀家をやめる」という話は聞かない。

 その陰で、この現代日本に葬式仏教は必要か、と考えているひとは、出雲でも案外多いのではないか。住職一家の衣食住から遊興までの費用を檀家が負担するというのは、どう考えても釈然としない。葬儀や法事で寺に世話になっても、仏教が精神的な支えや安らぎになっているひとは減る一方だろう。

 世界を見渡すと、欧米を中心にイスラム教が勢力を増している。特に、テロ事件の多くはイスラム過激派が起こしており、自分たちの考える「正義」のために自死もいとわない。社会の情報化が進み価値観が多様化するなかで、原理主義が人びとを引きつける傾向が強まっている。

 その反動なのか、ニューヨーク・タイムズに、イスラム教国インドネシアで無宗教のひとが少しずつ増えている、という記事が載っていた。2億4千万の人口のなかで1000人ちょっとだというから微々たるものではあるが、欧米のようにその数はこれから増えていくかも知れない。

 インドネシアでも憲法で信教の自由は保障されている。とはいえ、6つの公認宗教のどれかを信じることになっているそうだ。そういう社会で、イスラムの戒律を厳格に守る親に反抗したりして宗教を「捨てる」ひとが出てきている。無宗教を公言すると、村八分などに遭ったり、ひどい場合はイスラム冒涜法で禁固刑になったりする。

 2008年にはフェイスブック上に無神論者のグループが結成され、その限定された世界のなかで、コメントしたり愚痴を言い合ったりして結束を固めているのだという。

 日本では、宗教を捨てるのは自由で社会からの締め付けもない。心の支えという部分で満たされないひとが増え、精神が空洞化、社会が急進化する恐れはじゅうぶんにある。

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