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お盆って何だ

 高校時代の友人に寺の息子がいて、Gパンをはいてお盆の棚経に回り、あとで大目玉を食らったというエピソードをふと思い出した。

 8月2日の朝、見知らぬお坊さんがわが家へ来て、聞き慣れないお経のようなものを読んだ。わが家は禅宗の臨済宗妙心寺派ということになっているが、このお坊さんは宗派がちがうのかな、と思いながら聞いていた。ひょっとしたらお経でさえないのかもしれない。あるいは、棚経用の特殊なお経なのかなとも。

 結局、聞き慣れた般若心経などは読まれず、お坊さんは最後に、各家庭へ配られていた経本をぼくに渡して『回向文』というのをいっしょに唱えるよう促した。これは聞いたことがあった。「願わくはこの功徳をもってあまねく一切に及ぼし、我らと衆生と皆ともに仏道を成ぜんことを・・・」

 すべては11分で終わった。お茶の準備はいらないと事前に通知があったので、お布施を渡しておしまいかと思えば、お坊さんは座り直して自己紹介をはじめた。12年前にわが家の菩提寺とは別のお寺の跡を継ぎ、お盆の棚経のときには、檀家の数が多いので助っ人として回っているという。

 「余計なことを言うようですが」と、棚の最上段中央に置かれた本尊に対して鉦や香炉を並べる台の位置がずれている、と指摘した。ぼくとかみさんを見て、あなたたちはUターンしてきて慣れないだろうが、というニュアンスだった。お盆飾りを出したときには、おばあちゃんも施設から一時帰宅していてその指示にしたがっただけなのだが。

 「教本には仏壇のまつりかたもイラストつきで書いてあります」と、そのページを開いて見せてくれた。【ほとけさまのお膳】も写真と説明書きがある。ご丁寧なことだ。信心深いひとにはありがたいのかもしれないが、かみさんだって実家の宗派など自分の親が亡くなるまで知らなかったほどだから、こうして棚経のお坊さんにいろいろ言われてもとまどうだけだ。

 あれが本尊か、と初めて認識した。わが家の本尊とされる釈迦像はいつごろ買ったものか知らないが、持ったときにやたら軽いのが気になった。木彫りでさえなくプラスチック製なのかもしれない。かつて偶像崇拝を固く禁じるイスラム教国にしょっちゅう出張していたから、イスラム過激派ならこんな仏像は足で踏んづけ燃やしてしまうだろうなぁ、と不謹慎なことを連想していた。お坊さんの話は適当に聞き流して、帰ってもらった。

 それにしても、いわゆるお盆までまだ10日以上もあり、お盆ムードにならないことは言うまでもない。町内の係のひとが先月持ってきてくれた「平成26年度棚経巡回予定表」を改めてながめると、8月1日に早くも棚経をはじめ、連日巡回し、13~15日は初盆の家を回るようだ。「日程消化」という言葉が浮かんできた。お寺の稼ぎどきではあるが、暑い中、ご苦労なことだ。

 夫婦共稼ぎで家にだれもいない家庭などはどうするのだろう。お坊さんを迎えるためにわざわざ半休を取ったりするのだろうか。

 そもそもわが家のお盆は、以前は7月中旬だったはずだ。だから学生時代以降、お盆に帰省した記憶はなく、盆提灯もどこにしまってあるか最近まで知らなかった。それがいつから8月にお盆をすることになったのだろう。たぶんお寺の都合なのだろうが、伝統行事などといいながらかなり適当なものだ。

 七夕まつりも、ぼくたちの子どものころは、月遅れの前夜祭とでもいうのか8月6日夜が本番で、笛や太鼓のお囃子に合わせ短冊を吊した笹を斐伊川へ流しに歩いて行った。Uターンして町内会で聞くと、最近は日にちに関係なく8月の土曜日夜にやるのだそうだ。

 お盆って何?とふと思いネットで調べてみたら、意外にも、本来は仏教の行事ではなかったようだ。もともと、日本では、神道のさらに古い形だった古神道ですでに先祖供養の儀式や神事が行われていた。それを、江戸幕府が仏教に檀家制度を強要し、その際、神道式先祖供養と仏教行事の盂蘭盆(うらぼん)が混じりあって現在のお盆の形が出来たそうだ。実際、お盆の行事には、仏教の教義では説明できないことも多いらしい。

 盂蘭盆は、インドで生まれた行事で、旧暦7月15日に父母や祖先の霊を供養することだそうだ。

 盆とは文字どおり、本来は霊に供える供物を置く容器つまり「お盆」のことで、それが転じて供物を供え祀られる精霊そのものの呼称となり、仏教の盂蘭盆と混同されて習合したという説もある。

 神道は日本独特の古来からあるもので、仏教はもちろんインドに生まれ中国を経由して日本に入ったが、融通無碍の日本社会ではいっしょくたになったというわけだ。

 盆のはっきりした起源は分からないようだが、古代に「初春と初秋の満月の日に祖先の霊が子孫のもとを訪れて交流する」と信じておこなう行事があった。このうち初春のものが、祖霊の年神として神格を強調されて正月の祭となり、初秋のものが、盂蘭盆と習合して仏教の行事として行なわれるようになったと言われている。

 「盆と正月が一緒に来たよう」というイディオムがあるが、盆と正月のルーツは同じで、仏教式と神式に別れただけのことらしい、と初めて知った。

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