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ついに、毎日も参戦か 対朝日メディア戦争

 日本のメディア界は、いま、「関ヶ原」のただ中だ。1600年の合戦では、小早川秀秋が、戦闘中、東軍に寝返り、徳川家康に勝利をもたらす契機を作った。メディア界の小早川となりそうなのが、毎日新聞だ。

 合戦の火ぶたが切られたのは、2014年8月5日だった。朝日新聞が、いわゆる従軍慰安婦報道での「一部誤り」を、最初の虚報からじつに32年も経ってやっと「取り消し」たのがきっかけだった。

 この日を境として、対朝日戦争に、批判の急先鋒だった産経をはじめ、読売、週刊文春、週刊新潮、週間ポスト、SAPIO、WiLL、正論、日本テレビ、フジテレビなど多数が参戦した。虚報をくり返し、日本と日本人の名誉を傷つけ、日韓関係をめちゃくちゃにした朝日が叩かれるのは当然だ。

 その戦いの中で、“朝日の亜流”とも言われる毎日がどんな態度をとるかは、戦いの帰趨を占う大きな鍵とみられてきた。

 日本メディア史の専門家によると、戦前は、毎日と朝日が「2大紙」とされていた。満州事変が起きると、毎日はだれに強要されたわけでもなく、部数を増やすため国民の戦意を煽る大キャンペーンを張った。当初、朝日は静観していたが、その姿勢を在郷軍人会など右翼勢力は「軟弱」だと非難し不買運動をはじめた。朝日はそれに耐えられず、軍国主義を煽る紙面を打ち出して毎日に対抗した。他のメディアも負けじと無批判の戦争報道に血眼になり、日本を後戻りのできないところへ追い込んだ。

 だが、第2次世界大戦に日本が敗れると、GHQの占領政策などによって、日本のメディアは路線を180度変えた。なかでも朝日は、マルクス主義者など左翼や旧ソ連、中国、北朝鮮を礼賛し、口先だけの平和主義、民主主義を唱えるようになった。そして左傾化した時流に乗り、ライバル毎日を追い越した。見苦しい右から左への転向だった。

 朝日の路線は時間の経過とともにエスカレートし、1980年代初めからは、「旧日本軍は朝鮮人女性らを強制連行し慰安婦にした」という虚報を繰り返すようになった。それを批判することもなく、追随してきたのが毎日をはじめとする朝日亜流メディアだった。

 だが、8月の朝日の「検証」という名の「言い訳特集」によって、流れが一気に変った。サンデー毎日が、朝日は「読者の疑問に答えます」として特集したのにその投書欄には読者の声が1本も載っていない、と揶揄する記事を載せ、「おや毎日も!」と注目を集めた。

 朝日はもうひとつ、5月に、「東日本大震災4日後の11年3月15日朝、第一原発にいた所員の9割にあたる約650人が吉田昌郎所長の待機命令に違反し、10キロ南の福島第二原発へ撤退していた」と報じていた。吉田元所長=2003年に死去=から政府が聞き取った「吉田調書」の全文を入手してスクープしたものだった。

 朝日のスクープ内容は海外メディアもすぐに報道し、日本の評判は地に落ちた。「パニックになった作業員が命令に反して原発を逃げ出したことが、記録で明らかに」(米ニューヨーク・タイムズ)「サムライ精神の英雄的見本とはほど遠く、福島原発の作業員の9割が逃げ出し、被災したプラントに残るという命令に従わなかった」(英タイムズ)「福島の『ヒーロー』、実は恐怖で逃げ出していた」(豪オーストラリアン)

 しかし、「吉田調書」全文を、8月末までに、産経、読売など他紙も手に入れ「朝日の言う命令違反などはなかった」と否定して報じた。

 毎日も、8月31日付け朝刊で、朝日の報道を名指しで否定する共同通信の配信を受け、そのまま1面と3面に掲載した。また、特に注目されるのは、毎日記者が東電の元男性社員にインタヴューして社会面に書いた署名入りの記事だ。朝日の記事について、元社員は「命がけで戦った仲間全員への侮辱で、悔しい」とし、「当時、待避先が第2原発というのは全員の共通認識だった」と語っている。

 朝日は、ふたつの点で、毎日をふくむ他メディアの集中砲火を浴びることになったのだ。

 経営難のつづく毎日は、あえて左翼路線の朝日の後塵を拝することで延命してきたいきさつがある。最近の例では、集団的自衛権容認問題でもそうだった。ただ、毎日には、確信犯の朝日とちがい、虚報をしてまで自社路線を押し通す強引さはない。それが、毎日の報道機関としてのぎりぎりの矜持であり、見方を変えれば、押しの弱さでもある。

 朝日が、今回、虚偽と認めた慰安婦がらみの「吉田証言」は、1996年に国連人権委員会に提出された「クマラスワミ報告」に、証拠として言及されている。毎日は、8月29日朝刊で、朝日の前日記事が、報告書での言及の事実に触れていないことを指摘した。

 韓国外交部が行った9月2日の定例会見で、読売記者が強制連行の証拠を求めた。毎日の記者も「(さきほどの)読売の記者は強制連行、狩りのように連れ去られたこと(があったかどうか)について質問したもの」として、ふたたび韓国政府の見解を質した。

 ただ、毎日は、戦後最大・最悪のメディア事件である慰安婦問題で、朝日と決別するかどうか、まだ最終決断はしていないように思える。

 メディア関ヶ原の合戦は、読売、産経を中心とする保守の東軍が圧倒的優位に立っている。識者によっては、朝日の敗戦=廃刊への「終わりのはじまり」とみられている。

 毎日・小早川秀秋は、寝返りのタイミングをまちがえると共倒れになるだろう。

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