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松本山雅FCがもたらした、ささやかですごい幸せ

 はいはいしかできなかったわが子がいつの間にかあんよできるようになり、目を細める。人生の幸せは、他人からみればどうということはないところにある。幸福感は主観的なものだからだ。

 松本山雅FCがサッカーのJ2から初めてJ1に昇格が決まったというニュースをみて、ふとそんなことを思った。長野県松本市の人たちはどんなに喜んでいるだろう。J3の地元チームさえない出雲にいて、うらやましくも思った。

 かみさんは長野市の生まれ育ちだから、生粋の信州人だ。ぼくも駆け出しの新聞記者をしていた5年間を長野県で暮らした。ドイツ長野県人会が発足した1995年、ぼくも準長野県人として登録された。そういうこともあって、長野県のふたつのJリーグチーム、AC長野パルセイロと松本山雅FCには前から注目していた。

 長野市と松本市はライバル心が強く、じつはけっこう仲が悪い。そのため、サッカーでも信州ダービーは燃え上がるらしい。「信州人ってそんなに熱かったかなぁ」とかみさんは言うのだが。その信州ダービーを描いた『クラシコ』という映画が製作されたというから、かなりのものだ。

 半世紀前、喫茶店『山雅』の常連客が遊びでサッカーをはじめたのが松本市のサッカーの“起源”だという。そして2002年、W杯日韓大会のキャンプを松本市の真新しい球技専用スタジアム『アルウィン』で張ったパラグアイの有名なGKチラベルトが、「なぜここにプロのクラブがないのか」と言った。それが、Jリーグ入りを目指すチーム発足のきっかけになったという。

 北信越リーグからはじまり2010年に当時のJFLへ参入し、12年にはJ2へ昇格した。今季のホームゲーム動員数はJ2平均の2倍以上の1万2000人超になった。長野県はスポーツの分野で全国に誇れるものはこれまでほとんどなく、松本山雅のJ1入りは県にとって快挙だ。かつてアルビレックス新潟と湘南ベルマーレをJ1にし「昇格請負人」と呼ばれる反町康治監督が引っ張りあげた。

 Jリーグは発足当初から地元密着型の運営を目指していた。松本山雅は誰がどうやって運営しているのか。クラブそのものの運営はだいたい想像できるが、地元のボランティアやサポーターがどんなことをしているか興味があった。

 それをうかがい知ることができるブログがみつかった。J2大分トリニータを熱烈支持する若い夫婦のサポーターが、2014年10月に『アルウィン』で行われたゲームの応援に6泊7日で行ったときの長編旅行記だ。そこから一部編集してポイントを紹介する。

 大分から空路で羽田に飛び、新宿から高速バスで松本市入りした。<大分を出て9時間半。やっぱり信州松本は遠い。疲れた(笑)>< 完全なアウェーにも関わらず気持ちは「わくわく」。なにせ「信州」とか「そば」とか「松本」とかいう文字が目に入るだけで「憧れの地」にやってきたという思いが強い>

 <松本城を後にして先ほど借りた自転車を返して話をしていると、突然「トリサポさん?」と聞かれた>。「第一回松本検定マスタークラス合格 松本の達人」という名刺を渡してきたそのひとは、大分トリニータのことにもずいぶん詳しかった。

 松本山雅サポーターの集まる居酒屋へ行った。店の外にある「山雅伝言版」には「行こうぜ J1」「ここまで連れてきてくれた、反町山雅をなにがあっても信じて行こう」と書かれてあった。< 同じ地元チームを愛するサポとして、胸が熱くなる>

 いよいよ試合当日、夫婦はアルウィン行きのシャトルバスに乗る。< 何と無料!びっくりした。 無料で運営しているのはもちろんサポーターの足の確保のため。しかし、クラブの経営が苦しくなる。そのため入場料を少し高くしたそうだ。それに対して文句を言ってくるサポータは誰もいなかったそうだ。すばらしい>。スタジアムには『大分トリニータ サポーターのみなさん 信州松本へようこそ』というのぼりが。<まぁ、いろんなアウェーに行ったけど、ここまで「ウェルカム」でやってくれたクラブは見たこと無い>

 スタンドへ入るとさらに思いがけないことがあった。<山雅サポさんが手を振ってる、拍手をしている。 誰に?え?後ろを振り向いた。いるのはトリサポだけ。なに?もしかして俺達に? えええええーーー!! 鳥肌が立った。ここは何なの? 素晴らしすぎる>

 <お年寄りに混じって子供さんも多い。 毎試合チケットをスポンサーさんが買って子供(小学、中学生)に無料で配っているそうだ><J1に行けば山雅サポさんが夢とする2万人は間違いなく現実のものとなる。それにしても3000m級の山々に囲まれたロケーションは最高に気持ちがいい>

 試合は松本山雅が勝った。<目の前で見た「地域に根付いたサッカー愛」は勝ち負けとは別のところで「うらやましい」と思ってしまう><スタッフさんが手際よかった。ベビーカーは手伝うし、赤ちゃん連れは優先的にバスに乗せ、人数を数え、座らせた後に立てる元気な人を乗せる。見ていて何とも気持ちが良かった。 最後まで気配りができるここの運営スタッフに脱帽した。もう、本当に書くことが多すぎて書ききれない。 仲間の話を集めただけでも一冊の本ができるのではないかと思ってしまう>

 松本市ってそんな土地柄だったっけ?わが夫婦にとっても新しい発見だった。

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