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マスメディアが報じない安保の画期的な動き

 ぼくが小1のころ、アンポハンタイという言葉が流行した。そのころは、どんな意味かよくわからないまま、学校でもみんな口にしていた。何かに反対するとき、アンポハンタイと言うのだった。1960年のことだ。

 ある程度、大人になってから知ったことだが、それは日米安全保障条約の改正に反対する左派の野党や学生のスローガンだった。日本の安全を守るために、与党・自民党は「アメリカと同盟を結んで、その“核の傘”にも入れてもらわなければならない」と一貫して主張し、安保条約の改正・更新を進めていた。左派はそれに猛反対し、アンポハンタイを叫んでいたのだ。

 では、アメリカ軍の助けを借りないでどうやって祖国を守るのか。常識的な答えは、独自防衛能力を高めることだろうが、安保反対派は、「非武装中立」なる空想、妄想イデオロギーを掲げていた。さすがに、国民の多くはそんなイデオロギーを相手にしなかった。

 都市では、大学生や市民団体、野党の党員などによるデモが吹き荒れ、死者まで出たが、自民党政権は、結局、押し切った。それがなかったら、日本はこうして“平和ぼけ”のまま生きてこられたかどうか分らない。

 いま、それとちょっと似たようなことが起きている。アンポホウセイという言葉を、マスメディアが連日のように口にしている。

 自民・公明両党は「安全保障法制(安保法制)整備の具体的方向性」について合意した。政府は「自衛隊法」「周辺事態法」「PKO協力法」「武力攻撃事態法」「船舶検査活動法」の改正案、および他国軍への後方支援のために、自衛隊を随時海外派遣できるようにする新たな「恒久法」の法案を作成し、5月中旬に国会に提出する方針だ。

 アンポハンタイ当時とちがうのは、都市デモが大々的に行われ政権が倒れるかもしれない、というような事態とはほど遠いことだろう。いちおう言論の自由のある国だから、何に反対しようとかまわないが、アンポホウセイという言葉の陰で、画期的な動きが着々とすすめられていることを、大新聞、テレビなどのマスメディアは伝えていない。というか、知りもしなかったようなのだ。

 その水面下での動きを、週刊文春の2015年4月2日号は「極秘レポート」としてスクープした。2014年末、自衛隊の朝霞駐屯地など複数の施設を使い、万一、中国の人民解放軍と戦う場合、日米軍事同盟としてどんな作戦行動をとるべきか、机上合同演習を行ったという。

 日米のあいだで机上演習が行われるのは、以前からよくあることだ。これまでの作戦では、敵軍がやって来たとき、自衛隊は日本本土に対する敵の着上陸侵攻を防ぐだけで、後はアメリカ軍による攻撃で敵を蹴散らしてもらう、というものだった。文春はこう書く。「主権国家とは到底思えない合同演習が、長らく続いていたのである。今更ながら、ではあるが、日米同盟とはアメリカ軍の力に依存することに他ならなかった」

 だが、今回はちがった。1年がかりで綿密に準備され、アメリカ陸軍と陸上自衛隊の幹部合わせて十数名が一堂に会して演習を行った。「天文学的な量のデータが集められ、2週間以上にわたって中国の動きにあらゆるシーンでどう対処すべきか、演習が行われた」 その最大のポイントは、自衛隊が主体となって戦いアメリカ軍は支援を行う、という形がとられたことだった。こうした、いわば戦後日米間の伝統からの主客逆転、180度の転換は、もちろん初めての試みだったという。

 国土と国民の安全を守ることを最大の責務とする安倍政権のもとでこそ可能となった。「今そこにある危機」という言葉はたびたび使われるが、メディアがどれだけリアリティ、切迫感をもっているかはたぶんに怪しい。

 それは台頭著しい人民解放軍の動きをいかに抑止するかということに尽きる。安保法制の整備ももちろん重要だが、日本が日本人の手によって国を守る、という当たり前の考えがこれまでなかったのも事実だ。

 演習で想定されたシナリオは、“佐渡島奪回作戦”だった。日本海にある海底油田の独占を狙った人民解放軍特殊任務旅団の20個中隊が、佐渡島を占領、実効支配したという想定だった。

 日本は、法人救出と国民保護法によって約5万8000人の島民を避難誘導したうえで、島奪回作戦を実行する。防衛大臣は、防衛出動を命じ、陸海空自衛隊に統合任務部隊の編成を命令する。実際の動きは長崎県からはじまる。佐世保港で、巨大輸送艦「おおすみ」とヘリコプター母艦「ひゅうが」に、日本版海兵隊とも呼ばれる西部方面普通科連隊が、水陸両用任務部隊として編成される。この部隊が登場するのも、日米演習では初めてのことだった・・・。

 文春のスクープは、政府筋による意図的な情報リークによるものではないだろうか。目的は南西諸島や尖閣諸島を狙う中国をけん制するためだ。大新聞が大々的に報道すれば中国を刺激するが、かと言って、日本政府が手をこまねいていると思われると、中国は図に乗って本当に手を出すかもしれない。だから、週刊誌で報道させ「その気になるなよ」と。

 中国は、安倍政権を本当に手強いと思っているだろう。

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