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“ナイカク打ち”にこだわるメディア

 読売ジャイアンツの長野久義選手は、バッターボックスに入ると、ホームベースから思い切り離れて立つ。根っから内角打ちが苦手のためらしいが、あれだけホームベースから遠いと外角の球はどうやって打つんだろうと思ってしまう。でも、試合で観察しているかぎり、外角球には踏み込んでバットを出しむしろ得意にしている。

 野球の一流選手はそれができるが、頭の固い人たちが政治的にそれをやると、滑稽なことが起きる。自分がホームベースから離れて立っていることに気づかず、真ん中の球をストライクと言われ「外角のボールだ!」と文句を言うのだ。そして、捕手・審判から見て「左」の右打者の内角球こそど真ん中だと信じ込んでいる。

 ホームベースから政治的に離れて立つやからは、日本にたくさんいる。メディアで言えばそのエースで4番が朝日新聞だし、テレビ朝日も3番サードくらいの位置にいる。

 テレ朝の看板番組かどうかは知らないが、毎晩飽きもせず電波で左偏向情報を垂れ流している『報道ステーション』が、このところ物議をかもしている。その発端は、2015年3月27日の番組に出演した元経産官僚・古賀茂明氏の“不規則発言”だった。番組の流れを無視し、テレビ朝日の早河洋会長らの意向で降板に至ったと発言し、「菅(義偉)官房長官をはじめ官邸のみなさんにはものすごいバッシングを受けてきた」と語った。

 「イスラム国(ISIL)」問題について特集した1月23日の放送も波紋を呼んだ。そこでは、古賀氏が、安倍晋三首相は、日本人の人質が犠牲になるかもしれないことを知っていながら、イスラム国を刺激するような中東支援発言をしたと指摘した。そして、イスラム国を空爆しているアメリカやイギリスの仲間に入れてほしいと思っていたのではないかとし、自分だったら、「I am not Abe」というプラカードを掲げて、「日本人は違いますよ」と主張していたとも語った。

 古賀氏は、4月1日、毎日新聞の取材に応じ、「圧力」の内容について、菅官房長官が報道機関の記者らを相手に古賀氏らの番組での言動を批判していた、と主張した。また、昨年末の衆院選前、自民党が在京テレビ局各社に「公平中立」を求めた文書を配布したことについて「(テレビ朝日は)『圧力を受けていない』と言うけれど、局内にメールで回し周知徹底させていた」と批判した。

 公平中立を求める文書を局内で周知徹底させた、ということは、局幹部がそれまでテレ朝は公平中立ではなかったと認めていることを意味するのではないか。

 古賀氏は、おなじ日、市民団体のネット配信番組に出演し、「安倍政権のやり方は上からマスコミを押さえ込むこと。情報公開を徹底的に進め、報道の自由を回復することが必要だ」と述べた。報道の自由と古賀氏が言うのは、自分たちがど真ん中だと思っている「左」の声をもっと伝えろということだろう。

 左派メディアを中心にこの問題に耳目が集まっているが、どこのメディアも触れてはいない重大なポイントがある。つまり、日本のメディアは、そのタテマエ通り、ほんとに公平中立、不偏不党なのかという根本的な問題だ。

 海外のメディアで公平中立、不偏不党を謳うケースはあまり聞いたことがない。たとえば、ニューヨーク・タイムズが大統領選でどの候補を支持するか旗幟鮮明にするのはよく知られた話だ。

 日本のメディアが不偏不党を言い出したのは、1918(大正7)年にまでさかのぼる。大阪朝日新聞(現・朝日新聞)が、白虹事件によって内務省・警察当局から発禁処分になった。筆禍、あるいは政府当局による言論統制事件だった。これをきっかけに、日本の新聞は権力にひれ伏し横並び報道をするようになった。それは、お互いの報道内容について批判を控えることにつながり、戦前、戦中、戦後を通じてほぼ変わらなかった。

 メディア史研究の有山輝雄氏は、ほとんどの新聞が口先では「不偏不党」を標榜し現在にいたることについて、こう看破している。「天皇制国家に忠良なメディアであることは、不偏不党の基本的前提なのであり、それがなければ不偏不党は成立しない」

 朝日などは、天皇制を本心では否定したいと考えていることが垣間見える。それでも、タテマエでは不偏不党と言い張っている。

 報ステが公平中立なんてとんでもない、という例はいくらでもあげられる。あるJリーグの試合で「JAPANESE ONLY」と書いた差別的な横断幕が掲げられた問題について、2014年3月13日放送では番組トップであつかった。その中で、差別問題と直接関係のない客席の旭日旗にも言及し、問題があるかのように放映した。韓国が「旭日旗は軍国主義の象徴だ」と近年になって叫んでいる。それに尻尾をふるような報道ぶりだった。

 これに反発する意見がツイッターで相次いだ。「ねぇ報ステさん、 旭日旗がなんだって?差別って言いたいの?」「民族差別は良くないことだが、応援の景気付けに国旗や旭日旗振って何が問題?」

 旭日旗を社旗とする朝日新聞に対して報ステが社旗のデザイン変更をうながすなら、いちおう辻褄は合う。だが、報ステは、おかどちがいの番組を作ってその偏向ぶりをまるで認識していなかった。

 左に立つのは、“内閣打ち”にこだわるからにちがいない。

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