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マスメディアの自壊が止まらない

 ネットの世界でマスコミのことをマスゴミと呼ぶのは、よく知られている。その語感からは、始末に困る粗大ゴミのイメージがある。ぼくの印象では、ネット上の情報も90%以上はいかがわしいが、プロが仕事でやっているメディアのレベルもひどいものがある。

 最近の例では、NHK「クローズアップ現代」のやらせ問題がまずあげられるだろう。NHK調査委員会は4月28日、「過剰な演出」や「視聴者に誤解を与える編集」があったとしたが、「事実の捏造につながるやらせはなかった」とする調査報告書を公表した。

 こんな馬鹿げた報告書があるだろうか。「過剰な演出」や「視聴者に誤解を与える編集」があったということは、それこそ俗語で言う「やらせ」ではないのか。言葉を取り繕ったイメージ操作以外の何物でもない。朝日新聞の従軍慰安婦「誤報」問題を検証した第三者委員会とおなじくらい馬鹿げている。

 テレビ朝日「報道ステーション」の生放送中に、コメンテーターの古賀茂明氏(59)が逸脱した発言を繰り返した問題でも、おなじような無様な処理の仕方がみられた。

 これらマスメディアは、ネットユーザーにマスゴミと言われても返す言葉がないだろう。最近では、マスゴミのなかでもTBSが極めつきのひどさを露呈した。

 発端は、週刊文春2015年4月2日号が「歴史的スクープ」として放った「韓国軍にベトナム人慰安婦がいた!」という記事だった。

 その雑誌をコンビニで買って記事を開き、まず意外だったのは、執筆者がTBSの現役のワシントン支局長だったことだ。記事には、顔写真と山口敬之という本名、プロフィールまで載っていた。週刊誌に他のマスメディアの現役記者が実名を出して記事を書くというのは、めったにあることではない。

 7ページにわたる長い記事を読む前に、TBS幹部と山口支局長のあいだで何かよほどのことがあっただろうな、とは想像できた。「韓国軍にベトナム人慰安婦がいた」のが事実なら、たしかに大ニュースであり、まずTBSで報道すべきことだ。でも、TBSは、いわゆる従軍慰安婦問題で、朝日などといっしょになって<善い日本人>ぶり、“被害者”韓国の立場に立って日本と日本人を叩いてきた。いまさら、韓国軍でも旧日本軍とおなじようなことをしていたことがTBSの独自取材で判明しました、という訳にはいかなかったのだろう。

 山口支局長がこのテーマの取材をはじめたのは、2013年にアメリカへ赴任する直前、ある外交関係者から「ベトナム戦争当時、韓国軍が南ベトナム各地で慰安所を経営していたという未確認の情報がある」と聞いたことがきっかけだったという。

 赴任後、通常の仕事とは別に、アメリカに33か所ある国立公文書記録管理局(NARA)で、膨大な資料をコピーして支局に持ち帰り、読み込む作業をつづけた。そして、今年7月、サイゴン(現ホーチミン)にあったアメリカ軍司令部から韓国軍司令部に宛てた1969年の書簡に、韓国軍慰安所の件が書かれているのを発掘した。そこには、サイゴン市中心部にある『トルコ風呂』という施設で「売春行為が行われていて、ベトナム人女性が働かされている」「この施設は、韓国軍による韓国兵専用の慰安所である」と書かれていた。書簡ではその証拠2点があげられていた。

 山口支局長は、アメリカを長期に離れてベトナムで現地取材をするわけにもいかず、アメリカ国内で事情を知る人物を探し求め、ついに数人を突き止めた。通信インフラ会社に勤めていた人物(70)は、「『トルコ風呂』は、当時サイゴンにいた人の間では、『射精パーラー』と呼ばれていました」と実名で語った。アメリカ軍OBは「トルコ風呂で働いているのはほとんど二十歳未満の農村部出身の少女だった。十六歳だと語る人もいたし、もっと若く見える女の子もいた」と匿名で証言した。アメリカ海兵隊OB(71)は、韓国兵のレイプ事件や性病罹患を防ぐための施設だった、と実名を出して語っている。

 こういう記事を他のメディアに書いて山口支局長はどうなるんだろうと思っていたら、4月28日のJ-CASTニュースが、こんな記事を流した。「韓国軍がベトナム戦争中に慰安所を開設していたことを週刊文春でスクープしたTBSの山口敬之ワシントン支局長が、この記事をきっかけに懲戒処分を受け、営業局に異動させられていたことが分かった」

 これに対し、山口氏はフェイスブックで、報道で問い合わせが多かったとして自ら説明し、4月23日付でワシントン支局長の任を解かれ、営業局への異動を命じられたのは事実だと認めた。また、懲戒処分もあったとした。その理由としては、「週刊文春への寄稿内容ではなく、寄稿に至る手続きが問題とされました」と明かした。

 J-CASTニュースによると、韓国の主要メディアはほとんど記事を取り上げていないが、左派系日刊紙「ハンギョレ新聞」だけは、「腹立たしいが、反論は困難...」だとして政府次元の解決努力を促している。

 日本のネット上では、山口氏に対する賞賛や激励が相次ぎ、フェイスブックには1日足らずで1100を越える「いいね」が付いたという。

 韓国の朴槿恵大統領は、5月4日、慰安婦問題と外交を分離して対応する考えを初めて表明した。韓国軍慰安所のスクープが“ブーメラン効果”で響いた可能性はある。

 それにしても、TBSのマスゴミぶりは粗大ゴミ以上にどうしようもない。

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