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出雲の<なでしこ>たちが走る

 東北地方へ2年前の夏に行ったとき、直木賞作家の高橋克彦氏にロングインタヴューした。出雲へUターンする直前のことだ。古代出雲と東北の関係について詳しく聞いたのだが、話は自然、東日本大震災のことになった。高橋氏は、岩手県盛岡市の在住で、激しく揺れたそうだが、自宅兼オフィスは内陸にあり津波の被害はなく、無事だったという。

 「震災の報道で、どうしてもよく理解出来なかったのが、東北人とか東北人魂という言葉です」。ぼくはそう話し、わが郷里・島根のある中国地方では、「中国人」というくくりとか「中国人魂」という言葉はないことを指摘した。

 もちろん、半分ジョークで、氏も笑いながら「でも、九州人という言葉はありますよね」と言った。

 高橋氏の著作には、蝦夷(えみし)をテーマにしたものがいくつもある。蝦夷は古代出雲とつながりがあるらしいという話で盛り上がった。蝦夷は東北人というくくりのルーツにも深く関係しているようだ。

 出雲へ42年ぶりにUターンし、地元メディアで「中国女子サッカーリーグ」などという表現がふつうに使われているのに、改めて驚いた。故郷を長年離れていたから、他地方のひとならお隣の国を連想するにちがいない「中国」というくくりが、ある意味で新鮮だった。信州出身のかみさんも「中国リーグってどこのことかと思うわよね」と言っていた。

 その中国女子サッカーリーグに所属し出雲市を本拠とするチームがあることを知った。ディオッサ出雲F.C.という。なでしこJAPANの宮間あや主将率いる岡山湯郷BelleのU18(18歳以下チーム)と対戦するというので、かみさんと観戦に行った。

 会場は、前に岡山湯郷Belleと日テレ・ベレーザの試合を観に行ったときとおなじ、出雲市の浜山公園陸上競技場だ。ディオッサ出雲F.C.はまだお金を取って観戦してもらうレベルではないから、入場無料で好きな席に座ることができた。

 午後1時のキックオフの前、どこのチームかはわからないが子どもたちがゲームをしていた。それを観ながら、競技場近くのスーパーで買ってきた弁当を食べた。これが楽しみのひとつだ。日差しは強かったが、メインスタンドには屋根があり風も吹いていたから、観戦にはまずまずの天気だった。

 ディオッサ出雲F.C.と岡山湯郷BelleU18がいよいよ入場すると、エスコートキッズがついているのが本格的だった。キッズ22人全員がディオッサのオレンジのユニフォームを着ている。

 会場入りするときにもらった資料によると、ディオッサの選手は、社会人17人、高校生1人、中学生7人、小学生36人だそうだ。エスコートキッズはその小学生たちなのだろう。

 ディオッサはスペイン語で女神を意味するという。神々の里・出雲の女神というわけで、美しさと優しさ、強さを兼ね備えたチーム作りをめざしている。創立は1991年と意外に古い。中国女子サッカーリーグには12チームが所属し、ディオッサはこの試合前の時点で4勝2敗と3位につけていた。岡山は2勝3敗1分で6位だった。

 キックオフとなり、ゲームの流れをみていると、出雲は全員社会人とみられ、18歳以下の岡山のほうが体が軽やかでスピードもある。開始数分で、ディフェンスの一瞬の隙を突かれヘッディングで先制された。

 スタンドでは、お兄さんが太鼓を叩き大声で声援を送っている。劇団ひとりならぬまさに「応援団ひとり」で、それに合わせて観客がかけ声や手拍子をする。もっと静かな応援風景かと思っていたが、意外に盛り上がっている。これも、なでしこJAPANが世界で活躍しているおかげだろう。

 男子のW杯南アフリカ大会で有名になったブブゼラのような音が、あちこちから聞こえる。その正体は、ハーフタイムにトイレへ行ったときにわかった。通路で声をかけられ誰かと思ったら、同い年のいとこが竹で作った笛を差し出し、吹き方を教えてくれた。出雲市多伎町にある体験学習型施設「風の子楽習館」が出張してきていた。通路に長机を出して笛を並べ、子どもたちにプレゼントしているらしい。

 試合は岡山につづけて3点を取られ、出雲のFW伊藤朱里選手(宮城県出身)が一矢を報いたがおよばなかった。

 女子W杯カナダ大会で準優勝したなでしこJAPANの宮間主将は、会見で女子サッカーを「ブームではなく文化にしたい」と語っていた。2011年のW杯優勝後、日本のサッカー女子は増えつづけてはいる。でもまだ4万8000人で、アメリカの167万人、ドイツの95万人とはケタがちがう。

 ディオッサ出雲のトップチーム選手は、会社員をはじめ主婦、公務員、学生など多種多様だそうだ。2021年までに、なでしこリーグ入りすることを目指す。そのためには、中国リーグで優勝し、他地区優勝チームとのリーグ戦を突破し、なでしこリーグの下部チャレンジリーグを勝ち抜かなければならない。

 2014年5月には、運営母体のNPO法人ディオッサスポーツクラブが設立された。目標ははるか遠いが、出雲の<なでしこ>たちよ走れ。

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