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究極の世論調査はこれだ!

 わが日本の国会が、戦後70年間、憲法論議についやした時間とエネルギーは膨大なものになる。それを税金に換算したら、いったいいくらになるだろうか。論議が建設的でなにかを生むならまだしも、いつも空理空論だった。まったくバッカみたいだ。

 憲法9条を読めば、中高生だって、戦争はだめで軍隊も持てないことがわかる。だが、それでは国や国民の安全を守れないので、歴代政府は苦しい解釈をして自衛隊をみとめ安全保障政策を立ててきた。

 いまの憲法はGHQが「日本弱体化」のために制定させたが、国民の多くは憲法をありがたく戴いたから改正はできず、政治が局面局面で解釈を変えるしかなかった。

 知日派として知られ『戦争の記憶 日本人とドイツ人』を日本語でも出版したオランダ出身のジャーナリスト、イアン・ブルマ氏は、かつて東京で開かれた国際シンポジウムで、ぼくといっしょにパネリストとしてステージに上がり、こう述べた。

 「和解と癒やしについて語るとき、根本問題は日本人と非日本人(アメリカ人、韓国・朝鮮人、中国人)との合意にあるのではないということです。問題の核心は、日本人同士の間に合意が成立していないということなのです。その理由は多分に政治上、憲法上にあると思います。・・・憲法を改正すれば解決は見つかると私は思います。なぜなら日本が主権を回復して安全保障政策をもち、己を政治的に信頼すれば、必ずや日本の戦争がいかに悪い戦争だったか、またそれが特殊な戦争だったかどうかという感情的な議論はせずにすむからです」(アジア財団・国際シンポジウム公式記録)

 知日派外国人は、日本のどこが問題でそれを解決するにはどうすればいいか知っているのだ。ぼくの経験から言っても、海外にいて日本のできごとをみつめる日本人も、おなじことを感じる。

 ぼくは、インドのニューデリー特派員から東京の読売新聞社編集局に帰ったとき、1年半ほど世論調査部に局内出向していたことがある。日米、日米欧などの国際世論調査を主に担当した。国内テーマを絞る会議やデータ分析にも加わり、世論調査の裏表を知った。

 そのころ、上司に提案したが採用されなかった調査テーマがある。それは、日本社会にトゲのように刺さった「憲法と自衛隊」にかんするものだ。歴代政府は、苦肉の解釈によって自衛隊を合憲としてきたが、そこに日本という国の自己欺瞞と病理をみるひとは多いだろう。いま、次のような設問による究極の世論調査をしたらどうかと思う。

 設問:日本国憲法第9条では、「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない」とされています。しかし、現実には、戦力である陸海空の自衛隊が存在していて、根本的な矛盾があります。これについて、あなたのお考えをお聞かせください。
 (1)憲法9条を護持し、自衛隊を解体する。
 (2)憲法9条を改正し、自衛隊を存続させる。
 (3)分からない、答えない。

 論理上、これ以外の選択肢はない。この調査の目的は、9条をめぐる論点を整理し、国民を啓発して憲法論議を活発化させることにある。内閣府が事前に設問を公表し、国民一人ひとりに考えをまとめてもらってから、一定期間後に10万人の大規模世論調査を実施する。現憲法は、国民投票にかけられることなく、主権者不在のまま制定された。いまここで、国民の意思を確認するのは、大きな意義があるだろう。

 かつて、朝日新聞などは国連PKO協力法案に反対しヒステリックな大キャンペーンを展開した。しかし、いま、だれもそんなことは忘れたように振る舞っている。憲法も一見、大問題のようにみえるが、いったん改正されてしまえば、すぐ昔話となるだろう。もともと、大騒ぎするようなことではないからだ。

 この世論調査をそっくりそのまま、日本全国の憲法学者にアンケート調査し、結果を実名入りで公表すると面白いのではないか。

 朝日新聞は、2015年7月、国会で安保関連法案が激論を呼んでいるのを受け、憲法学者122人に法案が合憲か違憲かをアンケート調査した。案の定、違憲とする声が圧倒的多数で、法案絶対反対派の朝日はわが意を得たりとした。だが、もともと、9条は憲法学になじむ次元の問題ではなく、純粋に政治レベルの問題なのだ。

 おなじアンケートで、自衛隊が違憲または違憲の可能性があるとした憲法学者は77人いたのに、「9条を改正する必要がある」と答えたのはわずか6人だった。経済学者で著名なブロガーの池田信夫氏は「それなら憲法学者は『自衛隊は解散せよ』という論文を書くべきだが、私の知る限りそういう学術論文は見たことがない」とする。

 憲法学会の大勢に従い護憲派を名乗る憲法学者は、根本的な自己矛盾を抱えている。池田氏は「憲法学者の過半数が非合法と考えるような軍隊が24万人もいる国が、法治国家と言えるのだろうか」ともしている。まったく同感だ。

 3択アンケートに、多くの憲法学者は「(3)分からない、答えない」を選ぶのではないか(~_~;)(^o^)。机上で学問をいじっている日和見の憲法学者に、「憲法改正」にせよ「自衛隊の解体」にせよ、実名で主張する度胸はないだろう。

 日本を法治国家とするためにどうすればいいか、われわれは頭を冷やして考えるべきだ。

 【詳しくは、アマゾン電子書籍Kindle版『朝日追撃』(木佐芳男著、2015年5月発売)で。朝日問題を中心に戦後日本の病理を心理学、精神分析などによって分析した。その際、ドイツをはじめとするヨーロッパ取材で手にした知識を“メス”として振るった】

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