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韓国はどうする ふたつの“韓韓問題“

 いわゆる慰安婦問題は、2015年末に交わされた日韓合意で「最終的かつ不可逆的に」解決されたことになった。日本政府が元慰安婦のために10億円を拠出する代わりに、韓国側はソウル日本大使館前の慰安婦像「平和の像」を撤去する。だが、朴槿恵政権は「像は民間団体が建てたもので、政府による撤去はむずかしい」と、手をこまねいている。公道に建てられているのだから、政府がその気になればすぐ撤去できるが、像を建てた韓国挺身隊問題対策協議会(挺対協)と世論の反発が恐いのだ。

 日韓の外交問題となってきた慰安婦問題は、いまや主に韓国国内の問題となった。つまり“韓韓問題”だ。

 そこへもって、もうひとつの像の問題が持ち上がり、朴槿恵政権と韓国社会にとっての新たな難題、というか時限爆弾のようになっている。

 韓国の左派メディアとして知られるハンギョレ新聞が、「ベトナム戦争当時の韓国軍による民間人虐殺を謝罪し、被害者を慰める象徴物がベトナムと韓国に設置される」と伝えた。

 新たな像の正式名称は「ベトナムピエタ」と名づけられた。「平和の像」を作った二人の作家キム・ウンソン(52)、キム・ソギョン(51)夫婦が制作した。年内に、韓国軍によるベトナム民間人虐殺地域と韓国国内に設置される予定だ。

 「ピエタ」は聖母マリアが幼いキリストを抱く像のことで、多くの芸術家が制作している。なかでもミケランジェロが1499年に完成させたバチカンのサン・ピエトロ大聖堂にあるものが有名だ。ぼくも現物を間近で見たが、慈悲あふれる至高の作品だった。

 ベトナムピエタは、写真で見るかぎり質がかなり落ちるものの、韓国にとっての衝撃度は計り知れない。ベトナム語の名称は「最後の子守歌」と名づけられたそうだ。

 ベトナム戦争に対する歴史的責任を知らせる団体「韓国・ベトナム平和財団建立推進委員会」関係者は、「今年中にベトナム中部地域の多くの村で虐殺50周年の慰霊祭が開かれる」として「この行事に合わせて謝罪と慰霊の意味でベトナムピエタを贈るため、各村やベトナム政府と接触している」と語ったそうだ。

 ハンギョレ新聞は、この問題で、慰安婦をめぐり反日の急先鋒である挺対協が、韓国・ベトナム平和財団建設推進委員会と連携していると伝えている。

 韓国は、ベトナム戦争(1960~75年)当時、反共主義の立場からベトナムと戦うアメリカを積極的に支持し、1964年から終戦まで、のべ32万人もの兵士をベトナムに送り込んだ。週間ポストによると、韓国軍は多くの残虐事件を起こしたが、なかでも最大とされるのが「ゴダイの大虐殺」だった。100人以上の韓国軍兵士がゴダイ村に入ってきて、村人を一個所に集合させた。そのなかにいた年ごろの娘を村人の前で輪姦したあと撃ち殺した。怒り狂った村人たちは韓国兵に襲いかかろうとしたが、射殺された。15発もの銃弾を撃ち込まれながら生き残ったある村人は、その虐殺の模様を証言した。周辺の集落もふくめ1004人が殺害されたことがわかっているという。

 韓国軍はベトナム全土で、推計1万~3万の大量虐殺をしたとされる。また韓国兵士によるレイプで生まれた子どもたちは「ライダイハン」(韓国との混血、の意)と呼ばれ、その数は数千~3万人とされる。

 ハンギョレ新聞系列の週刊誌『ハンギョレ21』は、すでに1999年から1年以上にわたりベトナムでの虐殺問題でキャンペーンを張った。これに怒った退役軍人らがハンギョレ社を襲撃し、社屋を破壊して編集幹部を監禁する事件を起こした。だが、ほとんど処罰されず、この問題はいまでも韓国社会のタブーとなっている。朴槿恵大統領の最大の支持者は退役軍人とされ、大統領はこの問題にも手をつけられないという。

 挺対協が、ベトナム戦争当時の虐殺事件をいま改めて問題にしようとするのは、なぜなのか。武藤正敏・前駐韓大使は、月刊誌WiLLの対談で、次のように語っている。「挺対協は元慰安婦に対する支援活動としてばかりでなく、自身の政治目的のために活動を繰り広げてきた面が強いので、慰安婦問題で日韓政府が妥結に合意すれば、自身の存在意義がなくなる。したがって、挺対協が一〇〇%満足する解決以外、受け入れない。今回の合意は、それを打ち砕いたのです」

 つまり、挺対協は、新たな存在意義を作り出すため、次の活動目標としてベトナム戦争時の虐殺問題に焦点を合わせようとしているのではないか。

 挺対協は、もともと、北朝鮮と密接なつながりを持つとされる。慰安婦問題に全力で取り組んだのも、それによって韓国と日本を離間させ北朝鮮が“漁夫の利”をえるからだと見られていた。また、慰安婦で日本を叩けば、日本人拉致で国際社会から非難される北朝鮮が「被害者」に、日本が「加害者」になり、拉致問題とは逆転する。

 ベトナムピエタ像が韓国とベトナムの地に建立されたとき、韓国社会はどうするのか。像を退役軍人会がおとなしく受け入れるはずはない。さかのぼれば、ベトナムに軍を派遣したのは朴槿恵の父である朴正煕(パク・チョンヒ)だった。

 朴槿恵は反日路線を走り、挺対協の活動を容認してきた。そのツケがいま回ってきたのだ。こういうのを、政治のブーメランという。

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