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「生きるためにはサッカーしかない」マリ少年たちのド迫力

 サッカーの「U-16インターナショナルドリームカップ」が、2016年6月、鳥取県で開催された。できれば、会場を訪れて観戦したかった大会だった。

 参加チームのなかで、U-16マリ代表が日本サッカー界に衝撃を与えたそうだ。マリは、西アフリカに位置する共和国で、人口は1630万人と少なく、世界の最貧国の一つだ。

 SOCCER KINGの川端暁彦記者が伝えた記事は、秀逸だった。以下、その記事を中心につづる。

 マリの平均月収は、エリート階層ですら1万5千円ほどとされる。今回の日本遠征で少年選手らは100円ショップを訪れたが、「高すぎて買えないよ!」。月の小遣いが10円や20円という選手もいるといい無理もない。

 そのU-16マリ代表の戦いぶりが、大会の話題をさらった。テレビ中継の解説者として大会を見た元日本代表MFの水沼貴史氏は、「心を掴まれてしまった」と語った。

 日本は、第2戦で対戦し、「圧倒的な身体能力と迫力」(森山佳郎監督)で押しまくられて、1-2の逆転負けを喫した。だが、スコアよりもその内容が日本の選手らに大きな衝撃を与えた。

 沈黙を余儀なくされた日本の攻撃陣では「あんなに何もできないなんて」とFW宮代大聖(川崎フロンターレU-18)が絶句し、「(U-17の)ワールドカップが来年で良かったと思うしかない」とFW久保建英(FC東京U-18)も脱帽するほかなかった。

 守備陣もまた「ビルドアップしていても怖さを感じた」とGK谷晃生(ガンバ大阪ユース)が言い、「個の力の差。日本国内の試合では絶対にないくらいフィジカルの差があった」とDF菅原由勢(名古屋グランパスU-18)が、肌で感じたマリの脅威を語る。

 「マリは本当に強かった。これが(昨年の)U-17ワールドカップで準優勝するような国の力」(森山監督)。昨年のヨーロッパ遠征で日本はフランスやイングランド、オランダなどとも対戦しているが、チームスタッフの一人は「フランスとかより断然マリが強い」と断言した。

 マリの身体能力は言うまでもなく、連動したプレッシングも見事だった。ただ、何より「相手の雰囲気に飲まれた」と菅原が振り返ったように、懸命さ、ひたむきさという言葉がピッタリくるような温度感の高さこそがマリが持つ最大の魅力だったかもしれない。

 ゴールを決めた選手が涙を流して喜び、日本に勝利した時はまるで優勝したかのようなお祭り騒ぎとなった。その様子を見て「感じるものがあった」と菅原も言う。

 果たして自分たちは、マリの選手ほどの強い気持ち、勝利への執着心を持って戦っていたのかという疑問である。

 マリは、3戦全勝した。だが、単に「強かった」というだけでなく、マリは「それだけではない何か」を確かに感じさせてくれることとなった。

 マリを指揮するヨナスコク・コムラ監督は「日本の選手のテクニックは本当に素晴らしい」などと絶賛のコメントをした上で、同時にこうも言った。

 「もしかしたら日本選手の頭は『生きるためにはサッカーしかない』という感じではないのかもしれませんね。彼らには他の選択肢があるのかなという印象は受けました。マリの選手は違います。彼らにとってサッカーは、本当に生きるための手段なのです」

 「マリの子供たちの夢は当然プロサッカー選手になることですし、彼らにとってのサッカーとは、家族を生かすための大きな手段なんです」

 このコムラ監督の説明を踏まえると、U-16という世代はまさに貧困から抜け出すための扉に手を掛けた段階だ。チーム結成から3カ月で迎えた日本遠征は、彼らにとって生まれて初めて飛行機に乗る機会であり、初めての海外であり、初めて迎える本格的な国際試合だった。びびってもおかしくない状況ながら、彼らは勇気ある挑戦者だった。

  「(選手選考の)プライオリティーは何よりハートですよ」というコムラ監督の哲学もあったのだろう。「ストリートサッカーで育ってきた選手に集団で戦うことを教えるのが私の仕事」とする指揮官は、練習の前後に必ず国歌を全員で歌うなど「どれだけ代表のユニフォームのために汗をかけるのか」を選手に問うてきた。その成果はピッチ上にも確かに反映されていたという。

 この話に、他の一流プロでさえあきれるほどの努力をするイタリア・インテルのSB長友佑都選手を思い出す。彼は、母の手ひとつできょうだい3人を育ててもらった。また、J1サンフレッチェ広島から名門アーセナルへ移籍するFW浅野拓磨選手(21)も、7人きょうだいの3人目で、家族のために戦う。ふたりは、日本代表のなかでもハングリー精神が飛び抜けている。

 厚生労働省の国民生活基礎調査によると、「生活が大変苦しい」、「やや苦しい」と感じている世帯は、全体の60.3%だった。2015年の1世帯あたりの平均所得は、541万9000円で、平成に入って最も低かった2014年より、13万円増えた。世界的には、これだけの数字の国なら絶対に「貧困」とは言わない。

 極論だが、サッカーだけでなく、国に活力が生まれ、もっと強くたくましくなるためには、さらに貧困家庭が増えたほうがいいのではないか、とさえ思う。

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