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瀬戸内グルメ 鯛飯の喰いまくりツアー

 これを食べ残したら一生後悔する! かみさんとぼくは、すでにほぼ満腹だったにもかかわらず、小さいしゃもじで釜のご飯を手盛りし、胃袋の限界に挑戦した。テーブルの傍らで見守っていた仲居のお嬢さんは「ありがとうございます。料理長もきっと喜びます」と微笑んだ。

 結婚30年の真珠婚ツアーで、もう一つのテーマは、愛媛県の郷土料理「鯛飯」を極めることだった。

 以前、テレビで、お釜に鯛を丸ごと入れて白米などと炊く鯛飯が、愛媛の人に熱愛されていることは知っていた。それに追い打ちをかけるように、日本テレビ系『秘密のケンミンSHOW』で、鯛飯特集をやっていた。おなじ愛媛県と言っても、東北部にある今治市と南西の宇和島市では、鯛飯がまったくちがうという。

 もともと、瀬戸内と今治辺りだけへ行くつもりだったが、この番組をみて、急きょ、宇和島も目的地に入れた。

 パソコンのNAVITIMEで調べると、わが家から宇和島市までは、5時間あまりで行ける。自宅を出発し、山陰道を少し走って「やまなみ街道」に入る。広島県の尾道市と島根県の松江市をむすぶ尾道ー松江線だ。この高速道路は対向2車線しかなく正面衝突事故が起きやすいものの、料金がかからないのがいい。尾道で「しまなみ海道」に入り、すぐの生口島でインターをおりて昼食休憩をした。

 その後、愛媛県内ではあえて高速と一般道をミックスで走るコースを選んだら、山間部でゲリラ豪雨にあった。宇和島市に着くと、雨の降ったあとはあったが、すっかりやんでいた。

 ホテルの従業員は「ずっと連日、36度、37度といった猛暑でした。さっき雨がどっと降って気温が下がり、少しほっとしたところです」と言う。

 夕食は、ちょっと高いが宇和島郷土料理コースを頼んでいた。宇和島だけでなく出雲でもサメのことをフカと呼ぶ。その肉を湯通しし、ぴりっとした酢味噌でいただく「ふかの湯ざらし」などが出た。

 ぼくが気に入ったのは、「ふくめん」という料理だった。千切りにしたこんにゃくを4色の素材で覆い隠すように盛りつけてある。器を十字にわけて4色が盛ってあり、幾何学的な美しさがある。4色とは、紅白のでんぶ、金糸玉子、ワケギだった。この料理はとても気に入った。

 メインの鯛飯は、生の鯛の刺身をづけにしご飯に乗せたものだった。その昔、藤原純友の海賊衆が、酒のお椀に飯を盛り鯛の身を乗せて食べたのがはじまりとされる。宇和島独自の鯛飯とされているが、率直に言って、鯛のづけ丼という感じで、感激するほどではなかった。鯛がよほど新鮮なら、またちがったかもしれない。

 翌日、今治市へもどり、芸予諸島のひとつ大島にある道の駅で、お昼に「来島御前」というセットメニューを頼んだ。刺身、湯引きポン酢、茶碗蒸し、天ぷらのすべてに鯛が使われている。メインの鯛飯にやっと箸を伸ばしていると、かみさんが「鯛飯、ちょっと多いから食べて」と差し出してきた。いつもなら断るところだが、鯛飯喰いまくりツアーだからとすべてを胃におさめた。味は、鯛の身が入った炊き込みご飯といった感じだった。

 それから、村上水軍博物館、船に乗っての潮流体験などのスケジュールをこなし、今治市の東部にある湯ノ浦温泉のホテルにチェックインした。

 温泉で汗と体に噴いた塩を流し、いよいよお楽しみの夕食の席へ行った。ごく普通のレベルのホテルだから、あまり期待し過ぎないように、と自分に言い聞かせた。

 ところが、ときには大当たりがある。自家製の食前酒・梅酒にはじまり、稚鮎と野菜のレモンジュレかけの先付、旬の鯛、カンパチなどの向付・瀬戸のお造りとつづく。「これは、ひょっとしたら……」

 村上水軍の戦勝祝い料理・宝楽焼が華やかだった。大皿に焼いた熱々の小石をたくさん乗せ、その上に鯛、海老、ひおぎ貝、茄子が盛られている。「石が焼けていますからお気をつけて」。日本酒を振りかけながらの仲居嬢の言葉に、慎重にトングを使って自分の取り皿に移す。

 適度の塩味に日本酒の湯気がまぶされていて、地酒の冷酒に最高に合う。海賊衆はこんなにお上品な料理にはしなかったかもしれないが、戦勝を瀬戸内の幸で祝ったことだろう。

 気がつくと、黒鯛と野菜の冷やし鉢や、黒五麺と呼ばれる黒ごま、黒米、黒豆、カカオ、黒糖を練り込んだのど越しの良い麺も平らげていた。どう見ても蕎麦にしか見えないのに、食べるとなるほど手延べうどんだった。

 まだ、ローストポーク伯方の塩だれなど洋食もあるが、もうほとんどお手上げだ。

 だが、肝心の鯛釜飯が残っている。釜の蓋を取り一口だけでもと味わうと、びっくりするくらい美味い。かみさんも、「これを完食しなきゃ、後悔するわよ」とひとり用のお釜を抱えるようにして食べている。鯛の骨を焼いてから出汁をとり、白米に油揚げやニンジンなどといっしょに鯛の切り身を入れて炊き込むのだろう。

 一連の料理、めったに出会わない極上ランクだった。嗚呼、お腹いっぱい!

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