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2016年12月

詐欺のワナはすぐそこに!

 朝、珍しくショートメールが入っていた。いつも来るのはauつまりKDDIからのお知らせで、今回もそうだろうと思った。ぼくの知っている人は、たいていLINEでメッセージを送ってくるし、そうでなければふつうのメールで来る。

 ショートメールの細かい文字を読むと、こんなことが書いてあった。

 <有料動画閲覧履歴があり未納料金が発生しております。本日ご連絡なき場合は法的手続きに移行します。DMM相談窓口 03-6635-9118>

 有料動画を閲覧した記憶はまったくない。でもDMMというのはどこかで聞いたことがあった。料金未納というのは何かのまちがいではないか。

 とりあえず、その番号にかけてみた。相手はこう言った。「ショートメールに何と書いてあります?」。そのまま読むと、「それじゃ、ご本人確認をします」

 氏名、生年月日、住所を言わされた。でも住所の漢字がわからないようすで、漢字説明をさせられた。そのとき、おかしいな、とは思った。相手のモニター画面にはこちらの個人情報が表示されているはずだから、それにあった答えをすれば、本人とすぐ確認できるはずだ。これまで、こういうことを何十回もしてきたから、通常の本人確認のルーティンは知っている。

 「有料動画なんて見た記憶がありませんけど、いったいどこのサイトですか?」

 「ちょっと待ってください。・・・カリビアンコムというサイトです」

 「請求金額は?」「38万6000円となってます」

 なんと! 「身に覚えがありませんけど」

 「2015年10月以降の長期未納で、あなたはすでに強制退会となってます」「退会ということは、会員登録したことになっているのでしょうが、そんなことしていません。カリビアンコムってたしかエロ動画のサイトでしょ。そんなところに登録なんてしませんよ。第一、支払いの請求が来たこともまったくないし」

 「請求書を受け取らない設定になっているんじゃないですか。そういうケースはよくあるし」「そんな馬鹿な」「支払いをする気はないんですね。当社はカリビアンコムからすでに請求権を引き継いでいますので、払わないなら、すぐに裁判手続きに入ります」

 DMMのお兄ちゃんは、相当いらだっていた。話にならないから、電話を切った。とはいえ、ちょっと心配で「国民生活センター」の相談窓口をパソコンで検索した。画面の上位に何社か、「アダルト請求トラブル無料相談」といったサイトが並んでいる。そのひとつに電話をした。事情を話すと「100%解決する方法があります」と言う。

 不審に思ったのは、そのサイトには会社名も電話番号以外の連絡先もすぐには見つからないことだった。「御社は何という名前ですか?」「サイトを見たんでしょう。会社名も知らないでかけてきたんですか?」「で、何という会社ですか?」「株式会社ソ○○ンです」「え?、どんな字を書くんですか?」「ローマ字でSO○○Nです」

 「請求をやめてもらうのには手数料がいくらかかるんですか?」「7~9万円です。相手企業の調査と交渉で1週間はかかるんです。ショートメールが来たっていうことは、相手に電話番号が知られているわけですから、きちんと対応しないとまずいですよ」

 これは明らかに詐欺だと思った。DMMとSO○○Nはつるんでいるのではないか。

 「もうちょっと検討してから、かけ直します」「すぐに手を打たないと、手遅れになりますよ」「それなら、小一時間以内にかけ直しますから」

 電話を切って、国民生活センター相談窓口に電話したが、混み合っていてつながりそうにない。それならと、島根県の消費者センターへ電話した。対応した職員はとても親切で、こちらの事情説明をじっくり聞いたあとこう言った。「それは架空請求詐欺のひとつですね。念のため、ショートメールの文言を正確に読み上げてくれませんか」

 職員さんによると、DMMについての相談がすごく多いそうだ。「ショートメールはあてずっぽうに電話し、折り返しかかってきた相手から個人情報を聞き出すやり方です。あなたの場合は、すでに個人情報を取られてしまったから、今後もいろんな請求が来るかもしれません。でも一切無視すれば大丈夫です」

 SO○○Nというのは、あとで検索すると全然関係ないウェブ制作会社がその名前で、問題のサイトには会社名がない。そのサイトをよく見ると、探偵業○○○号と一番下の方に小さくあった。これが認可番号なのだろう。本業は興信所だが、詐欺グループと手を組む悪徳な輩がいる、と消費者センターの職員さんは言っていた。

 詐欺組織はどういうことになっているのか、改めて、国民生活センターという“消費者の味方の総本山”を検索しようとすると、「消費者被害アダルトセンター」「消費者相談センター」などといったもっともらしいサイトが、すぐに表示される。

 あるウェブの専門家に聞いたら、そういうのはリスティング広告と呼ぶのだそうだ。ワンクリック当たりいくらの広告費を払うか、オークション方式で落札した業者の広告サイトが上位に表示される仕組みという。クリックひとつに1000円を払う業者もいるという。

 ネットの世界は怖い。国民生活センターのすぐとなりには、詐欺の罠のサイトが口を開けて待っている。

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左利きでも大和撫子か

 ♪わたしのわたしの彼は 左きき♪ と歌っていたのは、麻丘めぐみさんだったか。調べると、1973年のヒットソングだというから、ずいぶん時間が流れた。

 そのころ、おなじクラブで親友だったNが左利きで、ギターの弦もふつうとは逆に張って、ぼくといっしょにフォークソングを弾いて歌ったものだった。左利きのギタリストなんて身近にいなくて、なんだか新鮮だった。

 でも、女性の場合はやっぱり右利きのほうに好感がもてる。和服を着て左手にお箸を持って懐石を食べている姿などをみると、心が萎えてしまう。左でお茶を点てる人なんているだろうか。やはり、「和」は右利きの文化だ。

 いつもはヌードグラビアなどが載っている週間ポストの巻頭に、「左利きはつらいよ」という特集があった。左利きは、全人口の1割強とされていると知った。ここで言う全人口は、日本のことだろう。

 欧米では左利きの人が、日本よりかなり多いことを経験としてぼくは知っている。それこそ文化の違いで、ナイフを右手に持ってステーキを食べようが、コーヒーカップを左手で持とうが、見ていてそんなに違和感はない。

 さて、記事には、左利きでつらい点が列挙されている。

 〈英語の授業で手が真っ黒になる〉

 これは、万国共通だ。欧米でも、左利きの人は横文字を書きずらそうに書いている。最近のインクを最小限に使うボールペンなら、左手で書いても真っ黒になることはそうないだろう。ところが、欧米では、小切手や契約書のサインは万年筆で書くのが正式とされるから、どうしても手は汚れる。いまでは、インクがにじまない万年筆なるものがあるのかもしれないが。

 〈ゴルフの打ちっ放しが気まずい〉

 これはわかるなぁ。ゴルフ練習場では、たいがい、左用の打席は一番右端にあることが多い。そこで、さてクラブを構えると、目の前の人はこちらに向かって打っている。どうしても目が合ってしまうのだ。ぼくも、一度だけそういう経験をしたことがある。お互いに集中できなくなって、フォームもぐちゃぐちゃ、ボールは左へ右へとなりかねない。

 〈ボウリングで指が痛くなる〉

 これは初めて知った。貸しボールには左用はあまりないのだろうか。右利き用だと中指がきつくて指が痛くなるそうだ。逆に薬指はブカブカで、とてもいいスコアは期待できそうにない。そういう人はマイボールを持つしかないだろう。

 〈パソコンを右利きに使われると「マウスがない!」〉

 左利き用のパソコンというのはあるのだろうか。キーボードは両手で打つから慣れるだろうが、マウスの接続コネクタは右側についているのしか見たことがない。もっとも、ぼくがいま使っているワイヤレスのマウスなら左でも使えるだろう。ワイヤレスを買ったのは、わが家に出没するマウス(ネズミ)にケーブルをかじられたからだったが。

 〈銀行・役所の「紐付きペン立て」は天敵〉

 これは左利きじゃないと絶対にわからない問題だろう。どんなに紐を引っ張っても左には届かない。でも、フジテレビ系『クイズやさしいね』じゃないが、いまどき、左手でも書ける紐付きペンはありそうな気がする。

 さて、「左利きで苦労したことはありますか?」という100人アンケートに64%が「はい」と答えている。これは意外に少ない数字かもしれない。「日本語の『はらい』や『はね』は右利き前提なので習字の授業は苦労した」(32歳男性)。「会社の電話が左側に置いてあるため左手でメモしにくい」(23歳女性)

 欧米より日本のほうが左利きが少ないのは、衣食住をはじめ生活文化がすべて右利き前提だから当然かも知れない。

 そう言えば、ぼくのおばあちゃんは、左利きを直す名人だった。いちどだけ、それに立ち会ったことがある。近所のおばあさんに、「孫を直してくれ」と頼まれたおばあちゃんは、その子をわが家に呼んで仏壇の前に座らせた。そこに料理のお膳を運んできて「さあ、右手でゆっくり食べてごらん」と言った。

 その子は、慣れない右手にお箸を持ちごちそうを食べはじめ、ずいぶん時間はかかったが、完食した。「仏さんの前で食べられたから、もうこれからは右手が使えるからね」。おばあちゃんは、きっと暗示をかけたのだろう。後日、近所のおばあさんは「左利きが直った」とお礼にきた。

 ぼくの息子も、初めは左手でものを食べ出した。かみさんが、そっと子ども用フォークを右手に持たせて食べさせるようにすると、自然に右手で食べるようになった。でも、サッカーをするときは左足が利き足だ。スポーツはそれでいい。物心がついて間もないころなら、左から右へ修正するのはそうむずかしくないようだ。

 実は、かみさんも本来は左利きらしい。財布を右手に持ち左手でお金を払う。もし、かみさんが食事やペンも左手だったら、ぼくは結婚していなかったかもしれない。大和撫子の必要条件は右利きだ、という独断と偏見を持っている。

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続・郵便局はやっぱりおかしい

 小泉純一郎氏が「郵政民営化」を叫んで国民を煽り、総選挙で勝ったのは2005年だった。それから2年後、郵政は民営化されたと言われている。でも、ほんとにそうなのか。

 思い出すのは、国鉄の民営化だ。ストに明け暮れサボタージュも横行して“職場崩壊”していた国鉄が、いったん民営化されると劇的に変わった。少なくとも、乗客の立場からはそうみえた。

 JRとなった新しい民間鉄道会社の職員が、ホームに整列して出発する列車の乗客に頭を下げる光景は、くり返しニュースで流れた。「ああ、やっぱり変われば変わるものだな」と思わされたものだ。

 それにひきかえ、民営化された郵政はどうか。郵便局株式会社、郵便事業株式会社、株式会社ゆうちょ銀行、株式会社かんぽ生命保険に別れたそうだが、どこがどんな仕事をしているか、ある程度でも知っている人がどれだけいるだろう。利用者からみると、窓口が複雑になり利便性が一段と低下したとしか思えない。

 ぼくは東京近郊から出雲へUターンして3年が過ぎた。引っ越しするとき、当然ながら転居届けを最寄りの郵便局に提出した。転居届けの有効期間は「1年」と局員に言われた。9月26日に引っ越したから、9月27日から1年間は、郵便物を転送してもらえるものと信じていた。

 ところがある日、出雲のわが家に転送されてきた葉書に張られたシールをみると、「転送期間:2014・8・31迄」となっている。そんな馬鹿な。つまり、9月1日から26日は空白期間となる。その間に旧住所へ送られて来たものは、どこへ消えるのだろうか。

 ぼくは、郵便局を利用するとき、母が入所している施設に近い出雲市斐川郵便局に行くことがほとんどだ。自宅の近くにもあるが、交通量の多い国道沿いで駐車場もぎりぎり2台しか停められないので、かえって行くのが面倒になる。

 斐川郵便局へ行き、空白の期間についてある女性局員に質問した。もちろん、シールの張られた葉書を持参していた。

  「9月27日から1年間の転送を依頼しているのに、このシールをみると、8月一杯で転送サービスは終わることになっているんですよ」  そう問い詰めると、葉書を手にした職員は「こんなケースは初めてです。申し訳ないですけど、今度は9月1日からの転送届けを書いてもらえますか」  転送期間の空白については、その郵便局にいた誰も理由がわからなかった。しかたがないので、日付を手前に27日間だけずらした転送届けを書いて職員に渡した。仕事の関係もあって、転送は何年間かつづけてもらわないと困るのだ。

 それからしばらくは、転送シールをチェックすることも忘れていた。

 そして2016年つまり今年の6月、シールをみると、「転送期間:2017・7・31迄」となっている。つまり、またも転送の空白期間が生まれているのだ。それまでの2年間に、実際には空白期間があったのに、ぼくが気づかなかっただけではないかと思った。その間に、もし重要書類でも行方不明になっていたらどうしよう。

 前に斐川郵便局へ行ったとき、職員は「転送開始日より1か月ほど早く届けを出してもらえば、確実ですから」と言っていた。しかし、早めの届け出はむしろ空白期間を広げるだけだったことになる。  ぼくは相当頭にきた。斐川郵便局へ乗り込んで今度は男性の局員を相手に、これまでの事情を話した。その際、転居届けの「お客さま控え」と転送シールの張られた葉書を証拠として持参した。

 「お客さま控え」には「転居届受付番号」としてアルファベット付き9桁の数字が印字されている。「ここに受付番号があるから、どういういきさつで空白期間が生まれたか調べておいてください。近いうちにまた来ますから」

 後日行くと、局員は東京にある日本郵便株式会社の「転居届管理センター」へ電話して、確かにぼくの届けでは、「転送開始希望日」が「2016年9月1日」となっているという。

 それならどうして、転送期間が「2017・7・31迄」となっているのか。そこにいた局長以下全員に聞いてみたが、誰もその理由を説明できなかった。それでもプロか!

 埒があかないので、後日時間があるときに出雲市平田郵便局へ寄って、おなじことを聞いてみた。窓口の女性局員ふたりとも「わかりません」「どうしてでしょうね」と言うだけなので、郵便課長という男性を呼んできてもらった。

 課長はさすがにことの重大さがわかり、その場ですぐ「転居届管理センター」へ電話した。その答えはちょっと信じられないものだった。

 「転送届の用紙には、たしかに転送開始希望日を書く欄がありますが、センターでは転送届が全国の郵便局から送られてきた日をもって転送開始手続きをとるのがふつうのようです」。そんな馬鹿な。転居届の用紙には、「届出年月日」と「転送開始希望日」の欄があるのに、後者はセンターの現場で無視されているわけだ。

 しかも、一線の郵便局員の誰ひとり、ぼくが指摘するまでそれを知らなかった。ぼくはちょっと大きな声で言った。「ふつうの民間会社なら、とっくにつぶれてますよ!」

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