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続・郵便局はやっぱりおかしい

 小泉純一郎氏が「郵政民営化」を叫んで国民を煽り、総選挙で勝ったのは2005年だった。それから2年後、郵政は民営化されたと言われている。でも、ほんとにそうなのか。

 思い出すのは、国鉄の民営化だ。ストに明け暮れサボタージュも横行して“職場崩壊”していた国鉄が、いったん民営化されると劇的に変わった。少なくとも、乗客の立場からはそうみえた。

 JRとなった新しい民間鉄道会社の職員が、ホームに整列して出発する列車の乗客に頭を下げる光景は、くり返しニュースで流れた。「ああ、やっぱり変われば変わるものだな」と思わされたものだ。

 それにひきかえ、民営化された郵政はどうか。郵便局株式会社、郵便事業株式会社、株式会社ゆうちょ銀行、株式会社かんぽ生命保険に別れたそうだが、どこがどんな仕事をしているか、ある程度でも知っている人がどれだけいるだろう。利用者からみると、窓口が複雑になり利便性が一段と低下したとしか思えない。

 ぼくは東京近郊から出雲へUターンして3年が過ぎた。引っ越しするとき、当然ながら転居届けを最寄りの郵便局に提出した。転居届けの有効期間は「1年」と局員に言われた。9月26日に引っ越したから、9月27日から1年間は、郵便物を転送してもらえるものと信じていた。

 ところがある日、出雲のわが家に転送されてきた葉書に張られたシールをみると、「転送期間:2014・8・31迄」となっている。そんな馬鹿な。つまり、9月1日から26日は空白期間となる。その間に旧住所へ送られて来たものは、どこへ消えるのだろうか。

 ぼくは、郵便局を利用するとき、母が入所している施設に近い出雲市斐川郵便局に行くことがほとんどだ。自宅の近くにもあるが、交通量の多い国道沿いで駐車場もぎりぎり2台しか停められないので、かえって行くのが面倒になる。

 斐川郵便局へ行き、空白の期間についてある女性局員に質問した。もちろん、シールの張られた葉書を持参していた。

  「9月27日から1年間の転送を依頼しているのに、このシールをみると、8月一杯で転送サービスは終わることになっているんですよ」  そう問い詰めると、葉書を手にした職員は「こんなケースは初めてです。申し訳ないですけど、今度は9月1日からの転送届けを書いてもらえますか」  転送期間の空白については、その郵便局にいた誰も理由がわからなかった。しかたがないので、日付を手前に27日間だけずらした転送届けを書いて職員に渡した。仕事の関係もあって、転送は何年間かつづけてもらわないと困るのだ。

 それからしばらくは、転送シールをチェックすることも忘れていた。

 そして2016年つまり今年の6月、シールをみると、「転送期間:2017・7・31迄」となっている。つまり、またも転送の空白期間が生まれているのだ。それまでの2年間に、実際には空白期間があったのに、ぼくが気づかなかっただけではないかと思った。その間に、もし重要書類でも行方不明になっていたらどうしよう。

 前に斐川郵便局へ行ったとき、職員は「転送開始日より1か月ほど早く届けを出してもらえば、確実ですから」と言っていた。しかし、早めの届け出はむしろ空白期間を広げるだけだったことになる。  ぼくは相当頭にきた。斐川郵便局へ乗り込んで今度は男性の局員を相手に、これまでの事情を話した。その際、転居届けの「お客さま控え」と転送シールの張られた葉書を証拠として持参した。

 「お客さま控え」には「転居届受付番号」としてアルファベット付き9桁の数字が印字されている。「ここに受付番号があるから、どういういきさつで空白期間が生まれたか調べておいてください。近いうちにまた来ますから」

 後日行くと、局員は東京にある日本郵便株式会社の「転居届管理センター」へ電話して、確かにぼくの届けでは、「転送開始希望日」が「2016年9月1日」となっているという。

 それならどうして、転送期間が「2017・7・31迄」となっているのか。そこにいた局長以下全員に聞いてみたが、誰もその理由を説明できなかった。それでもプロか!

 埒があかないので、後日時間があるときに出雲市平田郵便局へ寄って、おなじことを聞いてみた。窓口の女性局員ふたりとも「わかりません」「どうしてでしょうね」と言うだけなので、郵便課長という男性を呼んできてもらった。

 課長はさすがにことの重大さがわかり、その場ですぐ「転居届管理センター」へ電話した。その答えはちょっと信じられないものだった。

 「転送届の用紙には、たしかに転送開始希望日を書く欄がありますが、センターでは転送届が全国の郵便局から送られてきた日をもって転送開始手続きをとるのがふつうのようです」。そんな馬鹿な。転居届の用紙には、「届出年月日」と「転送開始希望日」の欄があるのに、後者はセンターの現場で無視されているわけだ。

 しかも、一線の郵便局員の誰ひとり、ぼくが指摘するまでそれを知らなかった。ぼくはちょっと大きな声で言った。「ふつうの民間会社なら、とっくにつぶれてますよ!」

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